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放課後、天気が良くて何だかすぐ家に帰るには勿体無い気がして。

時間にとらわれる事は無いから、グルッと校舎の周りを散歩してから帰ろうと思った。

で、校舎裏。

立海の校舎裏には花壇があって緑化委員が育てている季節の花が咲いている。

地味に私はその花たちが好きで、校舎の窓から見ていて、序に見ていこうと立ち寄った。

でも、目に入ったのはその綺麗に咲き誇った花じゃなくて、無残にも踏まれ蹴り飛ばされた花。

少なからず怒りを覚えて目を先に向けると男子生徒がふたり。

見た感じ、先輩だろうと思われる。ガラにも無く私は頭に血が上っていく。

目の前の男子は私に気付いてなく、ぐちぐちいいながら今もなお、花を傷付ける。

耳を傾けると、それは何とも自分勝手な言い分で。




「くそが、何で3年のオレ等がレギュラーじゃなくてアイツラ2年がレギュラー入りすんだよっ!」

「ホントだよな、ありえねぇつうの!2年の癖にでしゃばりやがってムカつくんだよ!」




暴言と共に足が振り切られ花を思いっきり蹴り飛ばし、苛立つままに踏みつける。

話の内容から言って、こいつ等は男子テニス部の奴等だろう。

2年がレギュラーになるって普通ないし、テニス部しか聞かない。

2年の3人(…後の三強)がレギュラー入りしたっていう噂は私の耳に入るほど有名な話だ。

3年は最後の夏の大会、そこに自分が入れなかったのは悔しいことだと思う。

でもだからって、花に八つ当たりは許せない。私は声を低くして彼等に声をかける。




『花にあたるの、止めてくれません?』

「「あ"あ?」」




イラついたままこちらを睨む男子ふたりに不安はないかといわれれば、ないとは言い切れない。

目の前のやつらは、ふたりだし、先輩だし、男子だし。何もかも勝てる要素は無い。

だけど、それじゃあこの花たちが可哀想過ぎるじゃないか。




『あ"あ、じゃなくて。花にあたるの止めてくれません?』

「うっせえな、関係ないだろうが。」

『花にだって関係ないと思うんですけど?』

「黙ってろよ、痛い思いしてぇーのか?」

『手を上げるんですか?構いませんよ、それこそレギュラーに入れなくなるだけですから。』

「「ちっ、」」




イラついたようにまた花を蹴り、踏み潰すクソ先輩たち。

ぶち、と何かが切れる音がした。

それは多分、堪忍袋の尾って奴だと思う。












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