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授業は選択美術。つまりジャッカル君とのおしゃべりの時間←
話そうかどうしようか迷って迷って、あやかはゆっくりと口を開いた。
『ジャッカル君。』
「ん?どうした、何かあったのか?」
『うん…聞いてもらってもいい?』
眉を下げながらそう聞くとジャッカル君はわらって「当たり前だろ。」と言ってくれた。
それに『ありがと。』とお礼を言ってからぽつりぽつり言葉を落とす。
『気を悪くして欲しくないんだけど、男子テニス部って人気じゃん?』
「まあ、な。」
『私はそういうのとあんまり関わりたくないのね。あ、ジャッカル君は友達…でいいよね。』
「…おう。」
『よかった。だから良いんだけど。他とは関わらない様にしていた訳です。でも…今週で半分以上に接触しちゃったんだよ!』
机を叩くようにしたらばんっと意外と大きな音となって響いた。
ジャッカル君は驚いたようだけど私の真剣さに気付いたのか「成る程な。」と呟いた。
『柳くんに仁王…くんあか…切原くんに幸村さん…あと葛西部長さんにも会っちゃって…』
「…物凄い遭遇率だな。」
『うう…どうしよう、ジャッカル君!私、このまま全員をコンプリートしそうで怖いんだけど…』
どれを全員って言うのかはジャッカル君にはわからないだろうけど、そこには触れずに彼は苦笑するだけ。
残りは三強のひとり真田と紳士、柳生それとジャッカル君のパートナーである丸井…
しかもなっちゃんの話によると丸井にあう確立は半端なく高い。
なっちゃんのお菓子を求めて彼は図書室に来ることがあるらしい。
これは非常に不味い。いつか必ず絶対に会う。間違いなく接触する。近いうちに…
(うあああ。私に平凡ってないの?ほんと、無理なんだけどぉおおお!)
頭を抱えれば、ポンッと肩に手が置かれる。
それにつられるように顔を上げると、ジャッカル君。
「愚痴は聞いてやるからよ、水瀬。そんなに落ち込むなって。」
『…ありがと、ジャッカル君。』
へにゃりと笑えば、同じようにジャッカル君も柔らかく笑ってくれた。
(うう、ジャッカルくんと居ると本当に和むなあ…)
しみじみと思いながら、鉛筆を手に取り紙へと走らす。
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