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一に家柄、二にお金。
超金持ち学校桜蘭学園高等部に君臨する最高級のお遊戯、その名もホスト部。
蝶の様に華やかに舞い集う女生徒客。そして大輪の蘭の如く匂い立つ程に見目麗しい美男の園が今此処に開いている。
「環様…環様は何故そんなに美しいの…?」
「一秒でも長く君の目に留まりたいからだよ…」
「何故そんなに艶のあるお声なの?」
「僕の想いが君の心まで届くように。」
「環様…何故そんな濡れた瞳で私を…?」
「瑞々しい君の笑顔が僕の心の泉を溢れさせるからさ…」
『…童謡、赤頭巾…?』
「じゃな。」「っスね。」
「違うからっ!」
目に涙を浮かべた環が、決め顔で姫に微笑みかける。
そこに通りかかったあたしの呟きに雅治と赤也が同意したが、綱吉にツッコまれた。
反対側を見れば少し隔たれた壁の向こうは、常陸院兄弟の接客。
「やっぱり2人はお揃いの着物なのね。」
「今日のは全員うちの母がデザインしたヤツだよ。」
「着付けたのは祖母だけどね。」
「勿論脱がせるのは俺の役目だよな、馨…?」
「光…!恥ずかしいよ、みんなの前で…っ。」
「…また馬鹿やってる…」
『ハールヒ。そう言ってやるなって。』
「俺もあれの何処がいいのか判らねぇッスけど。」
「…フォロー出来ないね…」
まあ、男が見たら良く思わないよねぇ。男同士の絡みとかは。
綱吉まで苦笑いで放置したので誰もがそこから目を離す。
先を見ると鏡夜が丁度お客からの指名を受け取ったところで、ふと振り返った。
「ハルヒ、御指名だ。最近は接客も大分安定してきたじゃないか。その調子で頼むよ。」
「はあ。」
「本来つくべき利子やその着物のレンタル代まで請求する気は無いからね…?」
「…今日は一段と嫌味やな。」
「随分とイイ笑顔ですねー。」
『悪代官だな。』
「んなこと言ってる暇があったら仕事しろ。」
腕を組んで、思いっきり機嫌の悪くなった鏡夜から逃げるように歩くと名前を呼ばれた気がして振り返る。
一緒に呼ばれていたハルヒを見ると同じように目があって、見ると半べそなハニー先輩。
話を聞くとぞうりが片一歩なくなったらしくて持っている一つのぞうりと足元は裸足。
「ハルちゃん、朔ちゃん…、ふぇぇ。」
「何処で落としてきたんですか。」
「ハニーくん泣かないで!私たちが探してあげる!」
『判りましたから、裸足じゃ床が冷たい。あ、モリ先輩…それ。』
向かいからやってきて、モリ先輩がハニー先輩の顔の横に草履を差し出した。
見上げたハニー先輩の横に膝を着いて、履かせたモリ先輩に抱きつくハニー先輩。
何か落ち着いたのでその場で後ろに下がると、ハルヒが馨にぶつかって袖から何かが零れ落ちた。
それをあたしが拾うと、高級とシールが貼られた目薬。
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