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春も爛漫、とは言えども四月も終わりに近づいている。
某日、ホスト部活動場所第3音楽室にて。
「春も終わりに近づいている…さて皆の衆!春といえば!?」
「「どーでもいいヨ。」」
「この双子は…っ、春といえば桜だろう!」
「フツーですね。」『普通だな。』
落ち込んだ環は置いといて、何はともあれ…
見納めの散る桜の木の下より、ホスト部を勤めさせていただきましょう!
ウエイター組と着物組に分れ、今日もまた接客が始まるわけだ。
『春はあけぼのとは言ったもんだよ、眠ぃ…』
「これだけぽかぽかしてるとね。」
「うーん、俺はテニスしてぇッス。」
「一日として同じ姿は見られない…」
『ん?』
近くを通ったからか、聞こえてきた鳳の声にそちらを見ると彼の手にはアルバム。
下に置かれたアルバムはものすごい数があり、それぞれ各個人分に分けられている。
そのアルバムに映っているのは明らかにカメラ目線ではないもの…つまり隠し撮りらしきものが数多い…
「そんな彼らの写真集を作ってみました。因みに個人と全員各バージョン1万5千円でセット価格もございます。」
「「買ったァ!!」」
「…ああやって成り立ってたんだな、ウチの部ってサ…」
「いつ撮られてたノ、僕ら…」
『最近害の無さそうなのがうろついてたのは、アレかあ…』
「「朔/先輩、気づいてたの/んスかーー!?」」
叫んだ赤也と綱吉に戸惑いがちに頷けば、「「言って欲しかった/ッス」」とガクンと頭をたれる。
それを宥めていると、不意にこちらに気づいた環があたしを呼んだのでそちらに向かう。
「おお、朔!ハルヒにも聞いたのだが、楽しんでるかにゃ?」
『んー、結構いいもんだねー。桜の下もさ。』
「そうだろう、そうだろう!もっとも俺達の場合愛でるより愛でられる方に忙しいのだが…。さらに言えば今の俺は誰より春めかしいぞ?どこがどのように春めかしいか、当てられるかにゃー?考える時間を…」
『「頭?/だろ?」』
間髪いれずに言えば、環は桜の木の下で膝を抱えてすね始める。
それに笑えば、綱吉はおろおろ困っていたが、赤也は同じように笑っている。
その様子に全員がだんだんこちら側に集まってくる。ぐいっと光がハルヒの首に腕を回す。
「ハルヒ、今学期の選択教科決めたかー?」
「綱吉と赤也もどーせなら一緒なのとろーぜ?だってホラ、「僕達同じクラスだしィ?」」
「ピクッ…」『あ、反応した。』
「そういえば俺達も決めてなかったよね?」
「やな。俺らもどーせなら一緒がええやろ。」
「選択教科ですか、何がありましたかね。」
光と馨が強調した同じクラスに環はぴくりと反応して、盛り上がり始めたハルヒ達の会話を見つめる。
あたし達の周りには既に全員集まってきていて、中等部のふたりも一緒に話し合っている。
それを見ながら選択教科の書かれた紙に目線を落として、それを見つけると、思い出す。
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