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「ホスト部って知ってるか?」
「高等部の須王先輩のだろ。そりゃ有名だし。」
「女を喜ばせる天才って言ったらやっぱホスト部キングだよな。」
「……。」
南校舎最上階、北側廊下つきあたりの「第3音楽室」
少年が慎重にそのドアに手をかけて、開く。
そこは、ホスト部。
「「「いらっしゃいませ!」」」
「!?!?」
「毎回ようやるのう。」
『ん?小学生?』
扉を開けばその先は、アラビア王の間。
ボンゴレ側はみんなで遠慮を示して、変わらず制服だ。(ハルヒが物凄く羨ましそうに見てきた。)
明らかに小学生(ガキ)でしかも男のお客に、双子はあからさまに溜息を零す。
「まあ、そう言うな。どうした、迷子か?それとも我が宮殿なにか?」
「物凄く成りきってますね、彼。」
『楽しんでんじゃん?』
「あ、あんたがキング…?」
少年が零すように問いかけた言葉に、ノリノリで問いかけていた環が目を見開く。
思わず立ち上がって耳に手を翳して見せるともう一度彼が「キング」と呼ぶ。
そして見て判るほどに笑顔を輝かせて、喜んで見せた。
その環に向かって少年が、驚いて着いていたお尻を持ち上げて仁王立ちすると、ビシッとこっちを指差した。
「初等部5年A組、鷹皇子嗣郎!ホスト部キングに弟子入りを志願する!!」
「!」
「「で、弟子入りィィィイイイ!?」」
『…弟子、ねえ。』
―――かくして、異例ではありますが最年少ホスト部見習いは誕生したのでありました。
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「環様にお弟子さんが?」
「ああ、まだ少年だがいい目をしていてね…。しかしなんという運命の悪戯だろう。僕の方こそ君を前にすると胸が高鳴りまるで恋を知りたての少年のよう…」
「環様…!」
「…ジー」
女生徒と距離を詰めて至近距離で甘い言葉を囁いて、口説いていく環。
その距離わずか30cmのところから、その二人の様子を凝視し続ける見習い少年。
「いいんですか、あんな近くで見学させて…」
「人は見られる距離に比例してより美しくなるち力説していたからな。放っておこう。」
「そんな静かにしてられへんと思うけど。」
「どっちかって言うとうちの池のフナだよ。僕そんな見え透いたお世辞言いたくない。」
「…言っちゃいましたねー。」
ピシリと固まるふたりに、いけしゃあしゃあと言い放ってみせるシロ。
勿論、そんな事を言われて女の子が傷つかないわけもなく、涙を流しつつ駆け出す女生徒。
環が伸ばした手は空を切った。
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