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『っ…。』

「我慢しすぎや。無茶せんといて。」

『んー…、検討はするけど…。約束は出来ない。』

「全く、素直に頷いてはくれないんだね。」

『出来ない約束は基本的にしない性分なんでね。』




天気が崩れた空を窓から眺めながら、苦笑気味に笑っておく。

縛ったやつらをシメた後、現在あたしたちは猫澤先輩のお屋敷に身を寄せていた。

壁を殴って血が滲んだ拳に消毒が施されて、きつく包帯を巻かれた。

その手を閉じたり開いたりを繰り返して、動きを確認するようにしてから侑士にお礼を言う。

ホスト部はすごろくをしていて、部屋の隅で環が膝を抱えている。

ハルヒと喧嘩したことは彼にとってかなりのダメージを与えているようで、かなりへこんでいるのが伺える。

そこに言うのはどうかと思うが、今言わなくては彼はわからないかもしれない。

手遅れでは、いけないのだ。




『…環。せーの!』

「え…、いだああっ!?」

「「「!?!?」」」

「「「あー…。」」」




環の元に近づくと同時に、環の名を呼ぶ。

座り込んだ彼と同じようにしゃがみ込むと、振り返った環の額めがけて頭突きをかました。

それは見事環の額にクリーンヒットして、額を抑えて環が転がりまわる。

それを見て笑うドS組を後ろ目に、勢いよく痛がりながら環が叫ぶように上半身を起こした。




「痛いではないか!朔!何をするんだ!!」

『あーん?それはこっちの台詞だ、このお気らキング!!』

「ヒッ!?」

「「お気らキングっ…ブフッ、あはははっ!」」

「あーんって、景吾さんみたいになってるよ、朔…」

『んなもんしらねーな、しらねーよ。言いたいことはたくさんあるんじゃボケェ!』

「今度は桃先輩になってる…。」

「口調もかなり汚くなったのう…。」




がたがた後ろで言っているのを見事にオール無視を決め込んで、赤くなった額に手をやる環を睨んだ。

その凄みに環は顔を青くして、小さく声を漏らすと無意識にか後ろに下がる。

それをさせないようにすかさず朔は環との距離を縮めると、環の背はいつの間にか壁に追いやられている。

その事実に、さらに顔を青くして環はあたしを見上げる。その瞳映るのは、まさに営業スマイルを貼り付けた朔。














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