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ドン―――…



鈍い音がした。

身体中に響いて綺麗に吹っ飛ぶ。

吹っ飛ぶのは私の身体。

猛スピードで飛ばしてきた車を捕らえた私は親友を突き飛ばす形で避けさせた…自分を身代わりにして。

親友はこけて動かない近づいてゴメンって謝って大丈夫かって聞きたいけれど、どうやら無理みたい。

身体中が痛い、ギシギシと音がなってる気がした。力が入らないで右腕は有り得ない方向に曲がっていた。

身体からは紅い液体がとめどなく流れていてそれは間違いなく血で…。

鮮やかなほどの紅い血を私は他人事のように瞳に写していた。




「あやかッ!!」




確かにあの子の声がした。

目が翳み始めてよく見えなくて、でも彼女のいるであろう方にゆっくりと顔を向けて見た。

身体が悲鳴を上げていた、声にはならない痛みで顔歪む。




「あやか!あやかっ!!嫌だよっ、しんじゃいやだよぉ!」




泣いて泣いて叫んで、生暖かい雫が頬に当たるのを感じていて、でも感じることしか出来ない涙を止めてあげられない。

身体が言うことを利かない、動けない。


(ああ、私…死ぬんだ……。)




『なか、ナ…い、デ…』




絞って絞ってやっと出た声は掠れたひどい声だった、話すだけで激痛が身体中を駆け巡った。

彼女が私の手をギュウと握る。

なんだかとてもあったかくて優しくて柔らかくて懐かしくて、思い出がよぎっていく。




『アンタ、の…せ、いじゃ、ナイか、ラ』




泣かないで、なかないで。

どうか笑って、微笑んで?

声に出来ない掠れた息が漏れる、もう話すことも出来ない。

それでも、アンタの重荷になりたくないよ、どうか伝わって…。

最後の力を振り絞って途切れ途切れに言葉を発する、ギュウと強く手を握り返して…。




『ご、メ…ね。あリ、が…とご…めン、ぇ…』




身体が死んでいく音がした。

掠れていた視界さえフェイドアウトしていく。

最期は笑った顔がみたかった、なんて…

最期の話がテニプリか、なんて…

ずっと大好きだよ、なんて…


(感じずにずっと一緒に笑いあって居たかったよっ!!)


…涙が流れた気がした、


バカだなあ、自分。

もっと他にも傷つけることなく助ける事だって出来たはずなのに…

ごめんね…?

傷付けてごめん、泣かせてごめん、

悲しませてごめん、目の前で死んじゃってごめん…


どうか、アンタは幸せになって…


遂に意識までもが遠のいていった














(ごめん、ごめんね。)
(バカな私で、ごめんね…)
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