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『…いきなり泣いてしまってすみませんでした。』

「いや大丈夫や…辛かったんやな。」

『…私より、あの子の方が辛いと思います。』

「そうやろか…ああ、何故ここに自分がおるか、やろ。」

『はい。ここが狭間って、一体…?』




改めて回りを見渡すがまわりは真っ白で、何も無い。

そして目の前には金髪が綺麗で空色の瞳のかなり格好いいオニイサンがいらっしゃる…自称神だけど。


(…あの子が見たらきゃーきゃー言いそうな人だな…。)


焔、さんはニコニコと微笑んでいる。




「理由はひとつやで。自分を他の世界に飛ばそう思うとるんや。」

『…はぁ?』

「落ち着いとるな、自分。」

『…性格がこうなもんで、これでも驚いてるんですが。』

「そうやった、次はここの細かな説明やな?"狭間"の説明や。ちと難しいかもしれへんが理解してや。」

『はい。』




焔さんは一呼吸置いて、私にわかりやすいように言葉を選んで話し始めた。




「ここは世界の狭間。世界には色々な世界がいくつも存在しておってな、そこで様々な人々がパラレルを知らずに生きとるんや。自分がそうだったように、や。」

『いろんな世界、って…。』

「簡単に一部を説明すれば自分の世界にあった物語…漫画や小説アニメ等全ての話にはしっかりとした"世界"が存在しているんや。その"世界"を管理してるのがここで、ワシなんよ。」




目を見開くしかなかった。

ありとあらゆる話には全部世界がある…!?そんなことっ!?




「《あるわけない。》」

『!…でも、どんな物語でもその世界が存在する。』

「そや、例えば下見てみ?灰色が灰男、オレンジが復活。周りには脱色銀魂鳴門など漫画の世界がある。逆の方向の向こうには文庫本、このまま右方向には自分たちの、左は童話や昔話などや。」




下を覗けば溢れんばかりに光りキラキラと輝く"カケラ"

そのひとつひとつが"世界"だという。

見るだけでは、あんなに小さい"カケラ"が世界だなんて。




「《信じられない。》…やろか?顔に出てるで。」

『…だって、そうじゃないですか。こんなの、いきなりすぎて理解しろだなんて言われたってっ!』




焔さんは苦笑しながら躊躇するように腕を軽く振りパチンといい音を指で鳴らし下からひとつの"カケラ"を上げた。

それを掌に乗せればそっとかざして私に見せるようにする。




「あやかがおった世界や」




呟くほどの聞き取りにくい声だったけどその言葉に私は頭を殴られたかのような衝撃を受けてしまった。

そのまま"カケラ"と彼を見比べてしまう。

だけど、彼は何も言わずにただ見やすいようにかざすだけ。

私は意を決して深呼吸をひとつしてその"カケラ"のなかの世界を見た。

そのなかには、あの子が写っていた。

あの子は泣いて泣いて、泣いていた。ずっと私に謝り続けて泣いていた。




「これで、信じてくれるやろか。」

『……はい。』




あれは私のお葬式だった、変な気持ちだった。


(こんなの、望んでなかったのに…。)


泣きたくなった、だけど堪えた。

――代わりに無性に胸が痛かった。












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