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□15 常連
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「それにしたっても、減るどころか酷くなってくばっかやな…」
『…まーねー。』
制服で隠れているところはもう、人の肌の色は殆どない。
いっそ鮮やかなくらいに、身体中痣だらけ。
赤、青、緑、黄色…カラフルな色が身体中を彩っている。
『いっそアートだろ?』
「笑い事じゃないで!まったく…」
「ホンマ、…何で笑えるんやか、不思議やわ。」
あれからふたりとも本当にこのことについて深くは探ってこない。
だから、この関係が成り立っているんだけれど。
(何で、笑えるか…、か。)
『不思議でもなんでもないよ。守りたい奴が居て、こーやって支えてくれる人が居る。』
「「…」」
『つーのに笑っていないなんて、失礼だし悲しませるだけだろ?』
「「朔…」」
『あたしの事で誰かが傷つくなんて…少しだって見たくない、少しでも減らしたいんだよ。』
『ただそれだけ、それだけだ。』そう呟いた声は、少し掠れてた。
まだ弱い、こんなことで涙が出てくるなんて。弱い。
(もっともっと、強くなりたい。…大切なものを、大事な人をしっかり守れるように。)
ぎゅっと拳を作って白くなるほどに強く握り締めた。
それからにへらっ、と気の抜けた笑顔をふたりに向ける。
『つーわけで、もうちょい怪我の手当て手伝ってちょー?』
「…はあ、ホンマ、自分ええ性格しとるなあ。」
『だろー?自分でもそう思う。』
「…無理のし過ぎはいかんで、朔。」
『……せんせーがそう言うだったら、そーしなきゃねー。』
またにへらっ、と気の抜けた笑顔をふたりに向けた。
(ここは、あたしを繋ぎとめる場所)