□09 拒絶
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「ねえ、答えたんだから、俺たちの質問にも答えてよ。」

「何故、拒絶する?」

「言ってくれないと僕たちは関わり続けるよ?」




3人の目は本気だった。

はあ、とため息をついて顔を上げ、3人を見る。

そして口を開いた。




『…お前らがあたしを庇えば庇うほどにお前らと他のレギュラーは反発しあうだろ。』

「だろうな。」

『そしたら、普通考えて部活の空気は悪くなる。』

「だね。」

『酷くなれば、レギュラー達はあたしを殴るだろうな。』

「…」

『それさえもお前たちは庇い始めとめようとする。』

「当たり前じゃん。」

『だからだ、よ。』




3人は眉をひそめながらあたしを見る。

あたしは目線をはずさずに言い切る。




『庇うほどにお前らさえも傷つくんだよ。』

「…」

『…大好きなテニス、辞めたくないだろ?』

「だけど。」

『…お前らがあたしを庇うことで傷つくことを、あたしは望まない、し。…許さない。』




3人は言いたいことを口にしかけて、閉じ、黙ってしまった。

あたしはそれを見て、カバンを手に持って扉に向かう。




『判ったらあたしに関わんな。庇うな。無視しろ。』

「…」

『あたしはそうしてくれた方が……よっぽど嬉しいんだよ。』




そう言い残して部室を出た。

部室では3人が、ただ立ち尽くした。




「俺たちは、」

「…守られて、るんだね…塚本さんに。」

「なにもできないのか…」




自分たちの無能さに、ただただ打ちひしがれて。

モヤついた心を持ち、重い足を引きずってコートに向かった。







(拒絶するのは、優しさ故に)
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