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□13 苦渋
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「「「千春ッ!!」」」
「みんなぁ〜!」
入って来たのは、おなじみのレギュラー陣。
彼らは嘘泣きの今井を見ると怒りを露にしてあたしを睨む。
「テメー!また、千春イジメたのかよ!シュー」
『やってないし、つか、あたし先輩なんだけど?』
「もうお前なんかセンパイでも何でもねぇな、何でもねぇよ!」
『…ああ、そう。』
「千春をイジメるのは、俺たち許さないよ。」
大石がそう言った瞬間に頬に痛みが走った。
不意打ちと、彼らの身体を守るために避けなかったから、軽く身体がよろける。
でも、踏み止まって前を向く。
そこには、拳を作ったままこちらを睨む、バーニング状態の河村が居た。
ちらりと目に映ったのは、驚きと哀しみの混じった目で見つめてくる、あの3人。
そっちを見てあたしは声には出さずに、『だいじょうぶ』と口を動かす。
(大丈夫。コレくらい屁でもないし、彼らを傷つけることなんかしない。)
もう一度あたしは目の前の今井を守るレギュラーを見る。
『…何すんの?』
「バーニング!千春をイジメる奴は俺らが潰してやるぜ!」
「シュー、そうっすね…じゃあ、まずはこいつからだ。」
「面白そうっすね!これは俺もやらねぇとな、やらねぇと!」
「塚本が悪い確率100%。俺たちが止めないとな。」
「副部長として、やらせてもらうよ?」
「…俺は、千春を守ってるにゃ!」
「ちょ!………(駄目だ、手は、出せな、い…)」
手塚はあたしの視線に気付いて、口を閉ざす。
それでいいんだ。不二もリョーマも唇を噛み締め、拳を握って耐えていた。
(あたしがひとりで、彼らを守って見せるさ!)
直ぐに全員があたしに向かって突っ込んできた。
今回は、避けれない。避ければ彼らは無理にでも殴りに来る。それだけは避けないといけないから。
ドカッ
『っ、ち、…きしょ……』
殴られた勢いであたしの身体は軽く吹っ飛び、地面に倒れる。
そのまま、リンチの状態で腹を狙って蹴られ続けた。
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