□そうやってあたしはまた、
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5時間目、内容なんか入ってこない。

だけど、何事も無くまた一時間が終わる。

珍しく起きていた水谷くんはのろのろと此方に来る。

そして梓の前で阿部の隣に座り込んだ。

それと同時に千代も此方にやってきてその前、あたしの隣に腰掛ける。




『はあー、5時間目って眠くなるよねー!』




沈黙を破ったのはあたし。

話してないと何か違うことを口走っちゃいそうで。

話してないと何か否なことばかり考えちゃう気がして。




「うん、ホントにねむーい…」




それに乗っかったのは、水谷くんで。

思わず頬が緩む。

それを隠すように口を動かす。




『水谷くんはいつも寝てんじゃん?』

「うわ、瀬川ヒドー!」

「ふふ、それは水谷君が悪いよー!」




水谷くんがブーたれて、千代が笑って。

あたしは、ちくりと胸を痛めながらも笑う。

胸の痛みは、知らないフリ、気付かないフリに決め込んで。




「そういえは、由梨ちゃん昼休みいなかったけど。」

『…他クラスの友達んとこに行ってたんだよ−!』

「そっか。あ!目赤くなってるよ?大丈夫?」

『!!…マジッ!?うわー最悪ー寝ないように耐えたのが悪かったのかー?水谷くんみたいに寝ればよかったー!』

「ちょ!瀬川ー!?」




…嘘だよ。泣いたからだよ、水谷くんが好きで、泣いたからだよ。


そう言えたらいいのに、

でもそう言ってしまったら、すべてが壊れる。


だから、あたしは言わない。

そういえば、千代も水谷くんも笑ってくれた。

だから、きっとこれでいいんだよ。





そうやってあたしはまた、

笑った。もうこれが作り笑顔か本物かなんてわからない。

でも、あたしはまた同じように笑った。


――…逃げるように笑った。


だから気付かない、
阿部と梓が話してないなんて、笑ってないなんて、…気付かない。







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