☆
□25 氷帝
3ページ/4ページ
『…これは…、まあ、やられた的な?』
「やられた?」
『ちょっとしたゲームだ。それでついた、てもんか。』
「…殴られたのか。」
『…』
「青学の奴らに…」
無言を突き通すが、景吾も他のみんなも厳しい目つきであたしを見る。
知ってる忍足もまた、少し怒っているかに見えた。
『…はあ。…まあ、かるーい苛め的な?』
「クソクソ!青学許せねー!」
「マジだな、激ダサだぜ。」
「そうですね。確かに見損ないました。」
『まあ、そう言うなって。…騙されているだけだし。』
苦笑気味に言い切れば、それを見て景吾が眉を寄せる。
そして理解できないとでも言いたげな顔で口を開く。
「だが、朔なら軽く避けられるし、やり返す事だって簡単に出来るだろーが。」
『誰がやるか!そりゃ知らない奴の事まで考えねェから、返り討ちにしてやる。けど、あいつ等は仲間で騙されてるだけだ。んなことであいつ等の夢が壊れるかもしれねェ事なんか、やらない!』
「…相変わらず、馬鹿だな。」
『誰が馬鹿だ!』
「馬鹿だ、お前は…」
『…へーへー。』
顔を上げた先の景吾は何ともいえない顔をしていて、あたしは何も言い返せない。
あたしは苦笑して景吾を見て、心の中でお礼を言った。
それからゆっくりとみんなに向かって口を開く。
『…つーわけでこれはあたしのゲームだ。あんまし手出さないで欲しい。』
「「「…」」」
『そん時になんないと判んないよな。けど、あたしが…オレがどーなろうと手を上げるな。青学に手を出すことは許さない。』
「「「…ああ/はい。」」」
全員が息を呑んだのがわかった。
だけど全員が頷き、約束をした。
あたしはゆっくりと微笑んで彼らに軽く頭を下げた。
(…ありがとう。)
!