□25 氷帝
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『うん、そいつそいつ。そいつを締めたい訳。』

「で、この合宿か。」

『ピンポーン!頭の回転速いね、宍戸。』

「あ、いや。」

「…まあ、わかった。が、そいつは何したっつーんだ。」

『あー…、今井はイジメの黒幕なんだ。』

「イジメ!?マジかよ!」




向日が声を上げる。他も目を丸くして驚いている。

まあ、イジメを知ってる忍足は半分の驚きだったようだけど。

その様子を見てから目線を落し気味にあたしは口を開く。




『多分…ここでもしていたと思う。』

「知りませんでした。」

『だろうな。一応あいつも………、人目は避けるだろうし。』

「…朔。」

『景吾、キミの思っている通りだと思う。…あいつも…、こっち側だ。』




そう言った瞬間に、少しの沈黙が走る。

景吾は「やっぱりか。」と小さく呟いて目線を落とす。

それを見て、向日がゆっくりと口を開いた。




「わかんねーけど、クソクソ!ソイツがムカつくことだけは判ったぜ!」

「俺もムカつくCー!!」

「!ジロー、起きたのか。」

「酷いCー!部室に入ったときから起きてたCー!!」

「まあ、でなんや。その合宿で朔の手伝いをすればええんか?」

『うん、そんなかんじ。』

「で?その怪我は何だ。」

『は?』




景吾の突然の質問に、みんなもあたしもぽかんとする。

でも景吾の目は真っ直ぐとあたしを見ていた。

それでもあたしはその目を見ながらゆっくりと口を動かす。




『何のこと?』

「アーン?まだ誤魔化すのか、朔?俺様のインサイトは誤魔化せねェぜ。」

『…』

「…諦めぇ、朔。跡部には誤魔化せへんわ。しかも、かなりの頑固やしな。」

『──……はあ、だね。厄介な友人を持ったと思うよ。』

「フン。当たり前だろ。なあ、樺地。」

「ウス。」

『本当にイラっと来るなあ…』




そう思いながらも、あたしは正直変わらない景吾に安心していた。

景吾を見て、忍足を見て、周りを見渡してから、あたしはゆっくりと口を開く。







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