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□28 安否
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目の前には青学の部室。
コートにはもう人が居なかったのだからもう、部室に戻って居るんだろう。
隣の忍足とアイコンタクトをとってから部室のトビラをあける。
勿論、突然現れた俺様たちに青学のやつらは目を丸くして驚いているようだった。
「よお、青学。」
「お疲れさん、てとこかいな?」
「!跡部に忍足!?氷帝のお前らが何で青学にいるんにゃ!」
「特に用はねぇさ。ここのマネージャーを送りに来ただけだ。」
そういった瞬間にレギュラー陣のほとんどが嫌そうな顔をし、その後ろに居た大して可愛いと想わねェ女の顔が歪む。
その姿が俺様に見えてないと想っているのだろうか。イラつきだけが俺様の中を締める。
(なんでテメェらは、その醜く笑い醜く顔を歪ませるソイツに気づかねェ…)
そして彼らのその声に俺様は思わず眉を寄せた。
「チッ、帰ってきたのか、アイツ。」
「…なんや、返ってきて欲しくないみたいな言い方やな。」
「当たり前ッすよ。アイツは千春の事苛めてるんすから。」
「アーン、苛めだあ?」
「そうだよ、仕事押し付けて暴力奮って!許せないよ。」
「ちがうよぉ〜、きっと千春に悪いとこがあるんだよぉ。」
「千春が悪い確立は0%だ。全てあいつの所為だ。」
そのみんなが庇う中で勝ち誇るように醜く笑う、女。
完璧に騙されている。あの爪で、あの格好で、あの掌でどこが仕事をしているって言うんだ!
手を上げないために、きつく手を痛いほど握り締めた。ふと隣を見れば忍足もまた同じく拳を作っていた。
こいつらはもう駄目なのか、と完璧に見損ないそうになったその時に声は掛かる。
「言いたい放題ッスね、先パイたち。」
「全くだね。今日一日で気づかなかったのかな?」
「好い加減、不二先輩も越前もアイツを庇うの止めた方がいいッすよ。」
「真実を言っているだけだ。どうしてお前たちは気付かない。」
意義を訴えるのは、手塚に不二に、越前。
その目は、彼らを元に戻そうとする強い意志を感じる。でもそれと同時に悲しみも写っていた。
女を見れば、更に醜い顔で3人を見つめ怒りで歪んでいた。
「手塚まで、部長がそんなんじゃあ…」
「大石、それは嘘でもみんなの気持ちをひとつにってことかい?」
「絶対ヤだね。俺たちはもう、見捨てない!」
越前の言葉に俺様は大きく目を見開いた。手塚も不二もその言葉に大きく頷く。
(朔、お前はちゃんと受け止めて貰えてんだな…)
それだけはちゃんと知れて安心する。お前にダチは仲間は、ちゃんと居る。
そして、扉の方に人気を感じて俺様は口を閉じた。
(安心したんだ、とも/朔は大丈夫だと)