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そう言って職員室を見れば、ひとりの先生がこちらに寄ってきた。
黒髪の襟足の長い若いイケメンな先生は、にこりと笑いかけて口を開く。
「早いね、水瀬さん。俺が君のクラスの担任の櫻木暢(さくらぎ とおる)。歳も近いから気軽に話しかけてね。」
『はい…よろしくお願いします。』
その笑顔は人懐っこくて絶対生徒に人気のある先生だとわかる。
(また…、この世界って顔の整った人が多いのかな…。)
そんな事を思いながら、あやかはしっかりと頭を下げて挨拶をした。
それを見て櫻木は満足そうに笑い、何故かあやかの頭を撫でた。
『?…あの?』
「あ、悪い。つい可愛くてな!勘弁な!」
『まあ、いいですけど。』
「ん、もういいかな。じゃあ、クラスに向かおうか。俺が受け持つ、君のクラスは2年I組だ。」
そう言って櫻木はあやかに微笑みかけた、が本人はそれを受けながら違うことを考えていた。
(I…クラス多すぎでしょ。でも、出来ればクラスにテニス部はいませんように…)
櫻木が歩き出しクラスに向かうので、それに置いていかれない様についていく。
5分もしないうちに2年I組に到着した。
中はそれなりに騒がしく、何故か転入生…つまりあやかのことで持ちきりのようだった。
「それじゃあ、水瀬さん。俺が呼んだら入って来て自己紹介ね。」
『は、はい。』
櫻木はそう言ってから、クラスに入っていく。
自己紹介、転校は初めてだから異様に緊張していた。
(しっかり、挨拶しよう…第一印象が大切だって、誰かが言ってた…)
ぎゅうっと両手で拳を作って気合を入れれば、扉の向こうから櫻木の声が掛かった。
もう一度、深呼吸をしてから扉を開けて教卓に上がり、櫻木の隣に並んだ。
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