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『水瀬あやかです。えっと、よ、よろしくお願いします。』




笑顔を気をつけながら無難な挨拶をして、またぺこりとお辞儀をした。

それと同時に、ぱらぱらと形式的な拍手が返される。

頭を上げたら、視線が自分に集まっているのを嫌でも感じて、少し顔が熱くなった。




「宜しくしてあげてね。じゃあ、水瀬さんは窓側の一番後ろで。」

『あ、はい。』

「…それと、このクラスにテニス部、は居ないけど…俺はテニス部の副顧問だから。」

『!!』




言われたとおりに席へ向かおうとした時、肩に手を置かれ耳元でそっと言葉を囁かれた。

驚きながら櫻木を振り返ると、にっこり微笑んでいるだけでその笑顔からは何もうかがえない。


(てか、心読まれてた…?もしかして、この人…裏があるかも…。)


少し警戒心が出来ながらもゆっくりと櫻木から離れ、指定された席に鞄を置く。

ふと気付くと隣はさっき会った、あの子似の亜美だった。




『!…亜美?』

「うん。同じクラスだね。隣よろしく。」

『うん、よろしく。』




彼女もしっかり覚えてくれていたようで、微笑んでくれた。

それに微笑み返しながら、やっと椅子に座った。

一息つくと、櫻木が名前を呼んだので返事を返す。




『はい。』

「悪いけど、ウチにはひとりだけ不登校がいてね。その子、図書委員なんだけど、水瀬さんやってくれる?」

『はい、大丈夫です。わかりました。』

「ありがとう、当番とかは確か後ろに張ってあったと思うから確認よろしく。」

『はい。』




それだけが確認事項だったらしく、数点話をすると櫻木はSHRを終えてクラスを出て行った。

ふう、とため息をつけば数人が机の周りを囲んで質問が始まった。

それは、よくある質問ばかりで素直に話せば友達が出来た。

少しするとチャイムが鳴って、1時間目が始まってあやかは立海の学校生活を無事、スタートさせたのだった。











(立海の学校生活)
(判らなくて不安だけど)
(私らしく過ごそうと思うよ。)
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