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『あ、の…なに、書いてるんですか?』




つい、気になってゆっくりと口を開いて柳に問う。

柳の顔色を伺いながら、機嫌を損ねないように言葉を選んだ。

そんな事気にしない様子でノートから顔をあげた柳。




「水瀬あやか、君の事だ。」

『…は?わた、し?』




思ってもいなかった答えに目を開いて柳に思ったまま口を動かす。

柳は気にした様子も無く、また淡々と口を開いた。




「ジャッカルから君のことを聞いて興味を持った。それに、こんな時期の転校生だ。少し興味をもってな。」

『はあ…そう、ですか。』

「君は面白い。水瀬あやか。2年I組、14歳、O型。4日前転校してきて図書委員を任される、担当日は火曜と木曜。一軒家にひとり暮らし。」

『……。』

「それに君は俺たちのことに興味ないのだろう。ファンクラブにも入らず話すらしない。」

『…(それ、関係あるの?つーかそれ自分たちがモテますって暗に言ってるよね…)』




「まあ、こんなところか。」と言ってぱたりとノートを閉じて私を見た。

――というか…、


(…何で私、あの人に調べられているのだろう?)



頭の中パニックになりながらも、取り合えず『はあ、凄いですね。』とだけ返した。

その答えでよかったのか、柳は「また来る。」と言ってドアに向かう。

出て行く前に、ふとこちらを振り返った。




「ああ、これ、ありがとうな。」

『っ……、流石イケメン…。侮れないな…』




はあ。とため息をついて本に向き直る。

そして何事も無かったように、私は読みかけの本を読み始めた。


(…少し微笑んだ彼に、すこしだけ心拍数が上がったのは秘密にしよう。うん。)















(引き受けた図書委員)
(火曜と木曜が担当だけど)
(なんか、一気にやる気が…)
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