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「ここに座って?あやかちゃんは甘いものお好き?」

『はい、好きです。』

「よかった。これ食べて?私のお勧めのお菓子なの。」

『わあ、いいんですか。ありがとうございます!いただきます!』




ついでの説明で判るように、彼女はかなりの甘党である。

ネットショッピングや足をお店まで運んでお菓子を色々買うのが好きらしい。

聞いた話によるとそのお菓子は、生徒達にも無料で配っているという。


(いい先生だな…)


そうあやかはポツリと思って差し出されたお菓子を口に含む。

甘いお菓子は口の中でとけ、じわりと全体に広がった。




『!これ美味しい…』

「でしょう?私のお気に入りなの。他にもあるんだけど…食べすぎは太っちゃうから明日ね。」

『そうですね。明日も楽しみになりました!』




あはは、と声を上げて笑えばなっちゃん先生もふふ、と笑った。

その笑顔に思わず、姉の笑顔が重なった。




『…、おねぇ、ちゃん…』

「ん?お姉さんがいるの?」

『あ、いえ…遠い…親戚のお姉ちゃんになっちゃん先生が似ていたので。』




苦笑気味にあやかは笑った。

それを見てなっちゃんもそうなのね。とだけ返した。それから考えて口を開く。




「私のことお姉さんだと思っていいのよ。」

『え?』

「遠い、というんだから逢えないんでしょう?」

『…まあ、そう、ですね。』




きっともう逢えないであろう姉を思い浮かべる。

そういえばいつも姉は自分の心配をしてくれていたと気づく。




「だったら私お姉さんになってあげるわ。それとも甘党な姉は要らないかしら?」




すこし悪戯っコのような笑顔をあやかに向けるなっちゃん。

それは確かに自分を慰めてくれているのだと判った。

だからあやかもにっこりと微笑んで笑いかけた。













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