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『そんな!…ありがとうございます。』

「じゃあ、先生はとって敬語もなくさなきゃね?」

『!ええ?』




冗談じゃなかったの!というように目を丸くさせる。

なっちゃんはそれを見て、にこり笑う。




「冗談なんかじゃないわ。私ひとりっこだけれど、妹が欲しかったの。」

『で、でも…いいんですか、私みたいのが、妹、で…』

「あやかちゃんだからよ。あやかちゃんって自分で全部背負おうとするタイプでしょ?」

『…そう、ですね。』




それは姉にも、あの子にもよく言われたことのひとつだった。

なっちゃんはやっぱりね。と言ってからふわりと笑う。




「少しでも気の休まる所を増やすといいの。ううん、増やして欲しいのよ。それだけで結構違うものよ?」

『…そうかもしれないですね。』

「そうよ。そうと決まったらふたりっきりの時だけでもいいから普通にしてね?」

『…うん、わかったよ。なっちゃん。』




そう言ってあやかが微笑めば、とても嬉しそうになっちゃんは笑った。

そのまま可愛い!と叫ばれてぎゅうっと抱き締められる。


(そう言えば、私お姉ちゃんに勝てたことなかったな…)


ふと思い出す。

勝敗の着くゲームなんかでもそうだったし、成績や運動もそうだった。

両親は言わなかったけど、それで親戚は結構私と姉を比べていた。


(でも私はお姉ちゃんが羨ましかったけど嫌いじゃなかった。)


どんなときも彼女が一番にあやかの味方をしてくれたから。

どんなに強がってても姉には直ぐに見破られて一番に甘やかさせてくれたから。

自分が哀しい時にも悔しい時にも姉が一番最初に泣いてくれたから。


(私はお姉ちゃんが大好きだった。)


もうあえない。

判っていたのに今更哀しくなってなっちゃんに抱き締められたまま少し泣いた。

なっちゃんは知らない振りで更にぎゅうと抱き締めてくれた。

で、おもう。


(私、なっちゃんも大好きになるんだろうな…)


簡単に想像できて、逆におかしかった。












(大好きな、)
(姉が出来ました)
(甘党な司書さんです!)
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