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「お願い!」

『えっと…』




ども、あやかです。

先日(金曜日/08の日)に専門委員会があってやっと委員の顔を覚えました。

で、休日を挟んで月曜の朝。

確か隣のクラスの図書委員である子が私に頭を下げています。

簡単に言うと、用事があるから当番を代わって欲しいということだった。

あやかは目を泳がせた後その子ににっこり微笑んで口を開く。




『わかりました。今日の放課後だけでいいんですよね。引き受けます。』

「本当!?ありがとう。助かるよ。本当にありがとうね。じゃあ。」

『はい、では。』




特に用事もない、家に早く帰らなくてはいけない理由もない。

そもそも帰ってもひとりであるから寧ろ暇だった。

図書室で宿題を終わらせたり、本読んだり出来ることはあやかにとって好都合だった。

それに、“彼女”に会うことも出来る。

あやかにとってはそちらの方が嬉しかったかもしれなかった。











****************




『なっちゃん先生います?』




そおっと図書室にカウンターの奥にある司書室を開けて中を覗く。

きょろきょろ見ると椅子に座る彼女がこちらを見て微笑んだ。




「あら、あやかちゃんじゃない。ん?でも今日は貴方の担当の日じゃないわよね?」

『代わって欲しいって言われたので、代わってあげたんです。』

「そう、そんなところに居ないで中に入ってきて?」




にこりと微笑んでなっちゃん先生、こと野嵩捺(のたか なつ)先生は手招きした。

その口にはチュッパチャップスであろう棒付き飴が入っている。

彼女は23歳、新任の図書館司書の先生。歳が近く人懐っこい笑顔から生徒に慕われている。

更に彼女自身も仲良くなるよう自分を呼ぶときは“なっちゃん”と呼ばせ、自分も生徒の名前を呼んでいる。

その手招きに連れられて失礼します、と中に入る。

にこにこと微笑んだままのなっちゃん先生に近寄った。















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