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□39 観戦
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『またまた【三強】、』「のお出ましだ。…と朔は言う。」
『いやだなあ、あたしにまでデータですかい?』
「それが俺のテニスだからな。」
『若の試合はデータ済み。これは中々厳しいねぇ。』
自信満々の様子で(あんまりそういう風に見えないが)ノート片手にあたしを見つめ、若と対峙する蓮ニ。
それにどうすると若に目を向けると、若の顔付きは厳しくなんて無かった。
寧ろ、これから戦うことにわくわくしているかのような表情。
「…逆に考えればここで克服するチャンス。…下克上だ。」
『若のそういう考え、あたし好きだね。』
「なるほど、データだな。」
さらさらと手を動かして素早く描き終えるとパタンとノートを閉じる。
ラケットを持ち直すとふたりはネットを挟んで試合に向う。
「The best of one set match,柳 to serve play.」
「行くぞ。」
「…」
若は答えることなくラケットをしっかりと構えて体制を作った。
それを見て蓮ニがサーブを打つ。それに反応して若が走りだし、ラリーが始まる。
蓮ニは意図的に右に低いボールを出した、それに若は向って走り出す。そして打った。
「お前が右の低いボールからの返しが高めのストレートの確立、86%。」
「!ちっ。」
『…流石。』
蓮ニの言った通りに若のボールは跳び、蓮ニが待ち構えているその場所へ。
そのボールはスマッシュとして逆のクロスへと打ち込まれた。
蓮ニは片目だけ開眼させて若を見つめる。その表情には余裕。
完璧に蓮ニのペースなのは見て取れた。その余裕の挑発に若が、
「…下克、上等っ!」
乗らないわけが無い。
一層瞳を鋭くして、彼のテニス。演舞テニスの構えを取る。
蓮ニのデータテニスに、若の独特な演舞テニス。
面白い、彼等の口元が上がり楽しんでいるのに、自分が釣られて笑っていることに気付いた。
「Game set. Game won by 柳. 5(ファイブ)games to 0(ラブ).」
『【三強】で【達人(マスター)】、その頭脳明晰さから参謀、ね。ゲームメイクが上手いよ、流石に。』
負けた若は悔しそうだったけど、それ以上に闘志が燃えていたから。
三強と戦わせたことは彼にとって必ず+(プラス)になるだろう、とふと思った。
第4試合(ゲーム)はD(ダブルス)1
仁王雅治・柳生比呂士vs忍足侑士・向日岳人
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