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□39 観戦
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コートに向う雅治と比呂士に違和感。

それに気付いて、思わず呼び止めるように口を開いた。




『……なあ、雅治 比呂士。』

「「なん(じゃ)ですか?」」

『…ま、いーや。面白そうだし。』

「?」「…」




“あいつ”は一瞬、本当に一瞬だけ眉を寄せてから直ぐにコートへ向ってしまった。

その様子に苦笑いして目の前の試合に目を向けた。




「The best of one set match,仁王・柳生 to serve play.」




加奈のコールと共に立海のサーブから試合が始まる。

その間も拭えないのはあの違和感。それに誰も、いや精市と蓮ニ、景吾そして綱吉以外は気付かない。

ゲームは止まることなく着々と進んでいく。だからこのままなんてちょっとつまんないから。




『ねぇ、いつまでそうしてるんだ?』

「「!」」「「?」」

「あ、やっぱり…」

『入れ替わって楽しい?』




にっこりと笑顔で雅治な比呂士と比呂士な雅治に問いかける。

それに“雅治”は“比呂士”を見て、“比呂士”はゆっくりとウィッグを取り眼鏡をとった。

その 雅 治 の顔は悪戯を邪魔されて不機嫌そうな子供の表情。




「…朔、言わんでもええじゃろーが!」

「クソクソお前らまた入れ替わってたのかよっ!」

「朔に言われるまで気付かんかったなあ。まったく喰えへん奴等やな。」

「忍足君、私が如何にも乗り気でやってるような発言は慎みたまえ。私は仁王君に付き合ってあげてるだけですよ。」

「ピヨ!…にしてもバレてるとはのう。」

『んー?そーゆーの職業柄得意なんだよ。』




見分けたり、変化に気付いたり。得意分野で必要分野ですから。と音符の付くように言い放って試合の再開を促す。

止めた奴がよく言うのう、と言う雅治の言葉にかもねーと返して試合を見守る。




「では本物のレーザービームでも見せてあげましょうか。」

「クソクソ余裕かよっ!」




宣言通りに、比呂士はレーザービームを打って試合にピリオドを打った。

岳人は騙されてたことに腹を立てており、侑士はそのご機嫌取りに大変そうだった。




「Game set. Game won by . 5(ファイブ)games to 1(ワン).」

『雅治には【詐欺師】比呂士には【紳士】って付いてるけど。試合は同じ事やってるんだし比呂士も詐欺師だよね。』

「私は詐欺師じゃありません!」

「…プリッ。」




ちょっとした本音に思いっきり怒られてむっとしたけど比呂士が異常に必死で。

きっと自分でもちょっと思っているんだろう、なんだか少しだけ可哀想で、可愛く見えた。



第5試合(ゲーム)はS(シングルス)1

切原赤也vs芥川慈郎









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