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□39 観戦
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「まっるい君のボレー久々〜、たっのCみぃ〜♪」
『慈郎はブン太に憧れたんだっけ。』
「そーだC〜!すっげーかっちょEーんだよっ!」
『それはそれは。あたしも楽しみだなあ、ブン太?』
「まかせろぃ!天才的な俺のボレー見逃すんじゃねーぞぃ!」
あたしと慈郎の会話が聞こえていて、嬉しそうに、得意そうに笑うブン太。
プクーっとガムを膨らませ、ラケットを肩に担ぎ、ピースサインでウインク付き。
それに笑いかけると、ジャッカルが呆れながらコツンとブン太の頭を小突いて試合に入る。
「The best of one set match,宍戸・鳳 to serve play.」
「長太郎、飛ばしてこうぜ!」
「はい!宍戸さん。行きます!」
一球入魂っ!のタイミングで長太郎のスカットサーブが立海のコートに突き刺さった。
ふたりはそれを様子見のように動くことなくしっかりと見た。
「中々速えーじゃん?」
「…どうも。」
「でも、この速さなら取れるな…、ジャッカルが。」
「オレかよ!ま、柳生のと速さだけなら良い勝負だな。」
「長太郎のサーブは速さだけじゃねぇぜ?」
「ふーん、じゃあ…楽しめそうだよぃ。」
ニヤリとブン太は余裕そうに笑う。長太郎は同じようにスカットサーブを打ち込む。
宣言通りにジャッカルはしっかりとボールを返す。勿論、亮も直ぐにそれを打ち返す。
ラリーが続く。ジャッカルが左右に走っては打ち、ブン太はプクーっとガムを膨らませ、パチンと爆ぜた。
ボールがそのブン太の元に飛んでいく、それに口元を上げてラケットを構えた。
『!』「きたきた〜っ♪」
「妙技、綱渡り…、どお?天才的ぃ〜?」
ネット上をころころと転がってから、ゆっくりと相手コートにぽとりと落ちた。
それは洒落た技だけど、その繊細なコントロールとパワーコントロールの要る業。
思わず、ひゅーっと小さく口笛を吹いてしまうほどに鮮やかだった。
だけど、たった一回の技で切れる集中力じゃないのが、亮と長太郎。粘り強さは氷帝1だからね。
『【ボレーの天才】からの技にどこまで切れずにいられるかな。…まあ、それは【4つの肺を持つ男】の支えがあってこそだけど。』
ブン太の技で翻弄し、ジャッカルのその持久力で体力を奪う。
根本的な長期戦タイプ。粘る氷帝に対し、ブン太は“綱渡り”に続き“鉄柱当て”“時間差地獄”をも繰出す。
そして安定した、崩れの見えないジャッカルの返し。結果は見えていた。
「Game set. Game won by 丸井・桑原. 5(ファイブ)games to 2(ツー).」
勝ちは立海。粘ったもののジャッカルの持久力には敵わなかった。
青学の時とは比べ物にならないほど汗をかいたふたり。肩で息をしている氷帝ふたりにタオルをかけてやる。
それに比べてブン太はそこまで汗をかいておらず、ジャッカルは汗は出ているもののまだまだ表情は余裕が見られた。
第3試合(ゲーム)はS(シングルス)2
柳 蓮ニvs日吉 若
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