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□43 騒動
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「あー、うぜぇ。仲良しごっこスか?」
「「『!』」」
「本当、見損なうッス。そんな女に騙されてるなんて。氷帝も王者立海も大した事な、!」ヒュンッ
氷帝と立海を貶す言葉を、つらつらと連ねる桃城。
その桃城の顔の…目と鼻の先ギリギリを何かが物凄いスピードで飛んでいった。
ガシャンとフェンスとそれがぶつかって、音が鳴る。
青学はそちらを見ると、それは黄色い、いつも自分たちが打っているテニスボール。
そのテニスボールはフェンスにめり込んでいた。
『調子付いてんじゃねェぞ、糞餓鬼』
飛んできた方から、怒りの篭った汚い言葉が発せられた。
慌ててそちらを見ると、手にテニスボールを握った朔。
その表情は、いつもの優しい笑顔でも、咎める時の目が笑っていない笑顔でもなく。
ただただ無表情で青学を睨み付けた、青学も氷帝も立海も見た事のない朔だった。
『黙って聞いてりゃ…テメェ、何 を 口 走 り や が っ た …?』
「っ…ぁ…」
『好い加減にしろよ。オレは1度忠告してやってんだ。』
『オレの悪口はまだ我慢してやらァ。オレの仲間を侮辱すんなら…本気でキレんぞ、あ"あ?』
「…ぅ、ぁ…っ」
『それ相応の覚悟があっての行動だろうなァ。それとも学習能力のねェ単細胞か、テメェは!』
無表情に怒りを込めた言葉を、怒鳴るように言い放った朔。
ピリピリと一般人でも…まして対立してなく後ろに居る仲間でさえ感じる朔の殺気。
半ギレ状態で殺気は目の前の青学に向けられる。青学組は荒い呼吸をする。
だんだんとそれさえ出来なくなって、彼等の顔が青くなっていく。
それに気付き、綱吉が名前を呼んだのが耳に届いて自分を落ち着かせて殺気を仕舞う朔。
『…まあ丁度良い。』
「「「ゲホ、ハッ…ハッ、はあっ」」」
「グッ…はっ、ぁ…な、っにが…」
『勝負しやがれ、糞信者共。』
膝から崩れた青学を立った状態のままで、見下しながら朔は言い放った。
それに大石が反応し、なんとか声を絞り出して聞き返す。
その質問に口元の端を持ち上げてからその言葉を言い放った。
『テメェらのテニスでひとつ教えてやらァ!』
朔は、ニヤリと裏の顔を髣髴とさせるニヒルな笑みを浮かべた。
(正々堂々、判らせてやるよ。)