☆☆

□45 勝敗
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「The best of one set match,朔・六道 to serve play.」




加奈がコールして試合が始まる。

ポーンポーンとボールを地面について、パシリと手に収める。

前を見て、桃城 海堂をみるとへらりでもにこりでもないニヤリとした笑顔を見せてトスを上げる。




「(あいつらは初心者だ、何で先輩たちが負けたのかはわかんねェけど…)」

「(…俺が、俺らがこいつに負けるわけが無い…)」

『いっくよ〜…』




にやりと笑ったにもかかわらず気の抜けるような声を出した、朔。

それは決してやる気が無いわけじゃない。…油断しきっているアイツラにあわせたから。

スパンっと良い音で叩かれたボールは、綺麗な軌道で青学のコートをすり抜けて行った。




「「!」」

「速いっ。」「…流石だよ。」

『余裕ぶっこくなよ?…お楽しみ(ゲーム)はこれからだろ?』

「クフフ…」

「チッ、嘗めてんのはいけねーな、いけねーよ。」

「フシュー…、潰す。」

『そうだ、ラリーをしようぜ。ラリーしなきゃ、テニスじゃねーよ。




もう一度トスを上げて、同じフォームでサーブを打った。

それをしっかりと返してくる、桃城。

そこはレギュラーの意地としては、返さないと恥だ。

ニヤッと笑ってボールを打ち合う。ラリーは続く。誰もが余裕の顔だった。

そう、レギュラーと打ち合っている女の朔も笑顔だった。




『こんなもんじゃねーよなァ、桃城ォ、海堂ォ?』

「うるせーなあ、うるせーよ。」

「…フシュー、」

「…意外と簡単ですねぇ、テニスってものも。」




ポツリと骸が呟いた言葉は、コートの全員に届いた。

んな挑発するようなこと言うなよなーと思いながらもあたしはふたりを見る。

桃城と海堂はその言葉にピクリと反応したのを、朔は見逃さなかった。

だからくいっと口元を上げてから、同じように挑発するような言葉を紡ぐ。










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