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□45 勝敗
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『それは違うよ、骸。…彼等が弱いだけだ。』
「クフフ…そうでしたか。それはそれは…」
「「イライライライラ」」
『しかも自ら望んで弱くなったような奴だ。』
その言葉に、ラリーしていた球を彼等はスルーした。
そしてブチッと、何かが切れる音がした。
それに口元が上がっていくのを抑えて、下を見たままの桃城と海堂を見る。
「…ふざけんなよ!俺らが弱くなったって言いやがって!」
『何?事実だろ?』
「100歩譲って弱くなってってーならそれはテメーの所為だろ!塚本!」
「そーだ!テメーが千春に手を出すから、だからっ『だから練習が出来なかった?』っ…そうだ!」
その答えに同意したのを見て、あたしはニヤリと思いっきり口元を吊り上げた。
その少し不気味な笑顔に桃城と海堂を含めた青学が、ビクリと肩を震わせた。
あたしはフフっと笑って口を開く。
『なあんだ、自分でわかってんじゃん。今井千春の所為で練習を怠ったって。』
「「!な、なにを、」」
『100歩、いや1000歩譲ってあたしが今井を苛めてたとしよう。それはあたしと今井の所為で練習できなかったってことだろう?まあ、あたしは無実だから今井だけの所為なんだが。』
「「「!」」」
「!な、なんでぇっ、ちはるのぉせいなのぉ?(チッ何言ってくれるのよっ!)」
『黙れ、テメェに聞いてねェ。』
「っ、」
今井をひと睨みしてから、目の前で動揺する桃城と海堂を見つめる。
ゆっくりと目を細めながら、ふたりの様子を観察していた。
(弱いといわれてイラついたんだろ?テニスが好きなんだろ?だからテニス部なんだろ?
好きだからテニス部入って努力して、それでレギュラーになったんだろ?なあ、そうだろ?)
決して口には出さずに彼等に問いかけるように、頭で問いただす。
だったら、お前らは何が真実で何が偽りが見分けて、それでテニスに洗練しなきゃならない。
(何故、なぜ、その選択が出てこない?)
歯がゆい気持ちになって、あたしは唇を噛み締めた。
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