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SHRを終えて真っ直ぐに図書室へと向かう。

今日はあやかの担当日。ガラっとスライド式のドアをあけてカウンターに入って鞄を床に置く。

なっちゃんは放課後の先生たちの会議に出てからこっちに来るので居ない。

返却認識済みボックスに溜まった本を元に戻そうと立ち上がった時にドアがスライドされる。

いつもなら特にそっちを気にしないのにふと目を向けると、正直会いたく無かった顔がそこにあった。



昼休みにキレた相手の、切原赤也。



彼もまた目が合うと同時に思いっきり目を逸らして勢い良く開けたドアを今度はゆっくりと閉めた。

ハラハラしている心を気付かれないように気にしない振りを決め込んで数冊の本を抱えて元の場所に戻す。

そこのボックスに入れといてくれればいいだけなのに彼は動かない。

というかとてつもない視線を背中に感じてしょうがない。

どうしようかと迷った末、持った本を全て戻し終えたと同時に彼に向き合うように立って口を開いた。




『返却の本はそこの箱に入れといて下さい。』

「…あ、」




手に持っていた本を箱に入れてやっぱりこちらを見る切原。

その口元はもごもごしていて何か言いたいのはわかって見えた。

キレられるのかもな、と思いながらもそれを無視することも出来ずに口を開く。




『……私に何か用ですか?』

「…え、と。その…すいませんでしたっ!」

『…え?』




口元を濁しながらもガバリと勢い良く頭を下げて謝罪を口した切原に思わず暢気な声を漏らしてしまった。

ゆっくりと頭を上げた切原の表情は、心底反省したような表情だった。




「俺、考え無しに口走っちまって…先輩に言われてイラッとしたけど冷静になればなる程自分が悪かったって思ったんス。」

『…はあ…』

「だから、その…すいませんでしたっ!」

『わ、わかったからそんなに頭下げなくていいですって!私もキレて酷いこと言ったんですし、ね?』




どうどうどうどう、とまた頭を勢い良く下げた切原に慌てて顔をあげさせる。

悪い奴じゃないのはわかったけど、ここまでされるのも困るってわかってくれないだろうか。















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