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□想いも、関係も、未来も、
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朝起きて洗面台で鏡を見れば、案の定腫れて真っ赤くなった両目。
笑っちゃうほどに酷くて、流石にこのままは無理だと冷やして少しでも元に戻す。
重い足取りを一歩一歩動かして支度をして、登校しようと家を出た。
前を見たら、梓が居て目を見開いて足を止めた。
「…よ。一緒に登校、しようぜ。」
『……朝錬、は?』
「今日は無くなった。」
『そっか。』と小さく返して梓の隣に立って歩き出したら動かないので梓を見つめたら苦笑い。
クシャクシャとあたしの頭を撫でて、梓も歩き出すから追い駆けるように足を動かす。
重い足取りも梓のお陰か少し、少しだけ進みやすかったから。小さくお礼を呟いた。
聞こえているはずだけど、梓は何も気にせずに歩き続けて、やっぱり梓には敵わない。
ふっと笑みもこぼれて、梓には助けられてるなあと本当に思う。
学校が近づくごとに苦しくなるけれど、ゆっくりと足を進める。
クラスの前に立って深呼吸をしてから梓を見つめ、ゆっくりと扉を開くと重い雰囲気でいっぱいだった。
千代も阿部も、水谷くんも。揃っていた。あたしも息が苦しくなった。
梓が「由梨。」と声をかけてくれたお陰でふっと息を吐き出して教室に入る。
全員が気づく異様な雰囲気に、誰も口を挟まない。そんな中、小さく水谷くんが口を開く。
「…ん…だよ…」
「「「『…』」」」
「何なんだよ!オレだけ判んないよ。何でこうなってんの?誰が悪いの?何が悪いの?教えてよ、阿部!瀬川!しのーか!」
「水谷…」
「ねえ、教えてよ。昨日のアレは阿部の所為なのかよ!」
叫ぶように言い放って水谷くんが阿部の胸倉を掴むように手を伸ばす。
それに千代もあたしも梓も慌てるけど、阿部だけは冷静だった。
『!水谷くんっ、駄目だよ!』
「邪魔すんなよ!阿部じゃないなら、泣かせたのは瀬川の所為なのかよ!」
『!』
「ばっ、水谷っ!」「落ち着け、水谷。」
阿部の胸倉を掴む水谷くんの手を掴んだら、今度はあたしの胸倉を掴んだ水谷くん。
そのまま叫んだ言葉は、千代を庇うその言葉。間近で必死になる水谷くんの顔にあたしは息を呑む。
周りもその行動に驚く。阿部と梓が驚きながらもそれを止めようと手を伸ばす。
千代は動けずに、目を大きく見開いてこの光景を見ていた。
あたしの頭の中では水谷くんの言った瀬川の所為なのかよ!が廻る。
そして、何かがあたしの中ではじけるのを感じた。あたしの手は胸倉を掴む水谷くんの腕を握った。
それに驚くようにふたりは手を伸ばすのを止める、水谷くんも驚いてあたしを見つめる。
あたしは視線を下に向けてから、ゆっくりと上げて水谷くんをしっかりと見つめた。
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