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□想いも、関係も、未来も、
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「っ!」
『先に、みんなに、謝るね。千代も阿部もごめん。…水谷くん、水谷くんが聞いたんだから、後悔、しないで、ね?』
その時のあたしの目は自虐色を瞳を移し、自虐の笑みを浮かべていたと思う。
水谷くんはそれを見て、息を呑んでゆっくりと力を抜いていく。
『誰の所為、は。あたしたちの、所為だよ。あたしたちの、関係の、所為。』
「由梨…」
『…千代は、阿部が、好き、なんだよ。』
千代が息を呑むのが聞こえる。ごめん、ごめん。謝り続けるけど、口は止まらない。
周りは少しづつ騒がしくなる。
『で、阿部は、自分で言うのはあれだけど、あたし瀬川由梨が、好き。』
「…」
阿部も息を呑む。周りは一層騒がしくなる。水谷くんは目を大きく見開いてあたしを見る。
あたしの心拍は上がり、胸が苦しくなる。だけど、言わなきゃならない。
はっ、と小さく息を吐いてから吸い、口を動かした。さっきより、より一層はっきりと。
『あたしは…、あたしは…、あたしはキミが好きなんだよ、水谷くん。コレが答えなんだよッ!』
「っ。」
「「由梨っ!!」」
言い切ったと同時に涙が溢れて、あたしは言い逃げの形でその教室を後にする。
後ろで阿部とあずがあたしの名前を呼んだけれど、足を動かし続けた。
その間も、涙はとめどなく流れてとまらない、トマラナイ。
登校中の生徒が目を見開いてあたしを凝視する。中には野球部の彼らもいたけれど。
あたしは逃げるように1-7の教室から離れようと、ただ必死に足を動かして走り続けて。
そして、崩れるように足から落ちて…泣き崩れるようにその場に蹲った。
想いも、関係も、未来も、
崩れていく、壊れていく…
ああ、また赤く腫れるなあ。
そう思っても、
その涙は止まる事を知らない。
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