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Bunta.M side
運動は好きなほうだと思う。他の教科で授業してるより楽だし、楽しいだろぃ?
テニス部でレギュラーやってるから、運動は得意だしな。
だけど、体育の授業は好きじゃない。どっちかと言えば嫌いだ。
理由は単純明確。
「キャー!カッコいいー!」
「こっち向いてー!」
A.女子が煩い。
自分で言うのも何処かのナルシみたいで嫌だけど、俺は…いや、俺たちは顔が良い。
俺たちって言うのは同じ部活で仲間、んで同じクラスの仁王。んで俺たちを見て、何処かの有名人かって言いたくなるほどに、女子が騒ぐ。
俺たちテニス部のレギュラー陣には、ファンクラブって言うのがあるらしい。で騒いでるって訳。
それが煩い。キツイ言葉で言えば、ウザイ。顔しか見てねェでキャーキャー言いやがって、正直イラつく。
「丸井くーん!」
「ブン太君、カッコカワイイよねぇ!」
「キャー!雅治、素敵ぃ!」
「仁王くんはセクシーだよぉ!」
「こっち向いてー、笑ってぇー!」
「…呼ばれてるぜ、“雅治”」
「…そっちものう、“ブン太君”」
嫌味をお互いに言い合って、目を合わせる。慣れてきてるが、仁王のほうも苛立っている様子が見えた。
同時にハァっと溜息をつく。名前で呼ぶなよな。…知らない奴に呼ばれたいと思わねぇよぃ。
仁王も同じ事を思っていたのか、「…名前が汚れるぜよ。」と呟いた。
はっと息を吐いて、しょうがないからこの中で体育のバスケを始める。
つか女子も体育しろって感じだよな。甘いボールに目をつけてボールをカットする。
バスケ部を振り切り仁王に股抜きパス。仁王はそのままレイアップを決めた。
周りは煩いけど、バスケは楽しい。仁王に近づいてハイタッチをする。そのままシャツを引っ張って汗を拭く。
ふと仁王を見ると何かに驚いているようだった。その方向は女子の方で、何かいるのかと目を向ける。
仁王はニヤリと口元を上げると、作った笑顔で手を振っていた。
「に、仁王っ!?おま、何してんだよぃ!」
「っ、煩いのう。あんた等に手ぇ振ったわけじゃなか。って、あ。」
「ん?」
声を上げた仁王につられて、奇声を上げてる女子のその奥に目を向ける。
そこには何か、普通のだけど俺たちを見て訝しげな目をした女の子が居た。
俺たちっというより仁王から目を逸らし、そいつは遠い目をしたまま去っていく。
「プリッ。…無視されたぜよ、ムカつくナリ。」
「あの去ってった奴、知り合いなのかよぃ?」
「まあのう。アイツ、面白いんじゃ。ククッ…」
仁王が面白いって思う女、か。
仁王の女嫌いは、表面には出ることは少ないが結構酷い。
けど、その仁王が面白いって思う奴。見た感じ、気に入ってるんだろーし。
どっかで会えねぇーかな、アイツ。
丸井少年、興味を持つ。