□俺の最優先事項は、
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花井に言った事、嘘も偽りも無い。

アイツが言いたいことだって、痛いほど理解してるつもりだ。

花井だって判ってはいるんだろうけど、それでも俺の意志は変わらない。


ずっとアイツを見てたんだ。

ずっとアイツが好きだったんだ。

…アイツの、笑顔が好きなんだ。


好きな奴の笑顔が見たいって、思って何が悪い。

俺はただそれだけだ。




「…、充分女々しいな。…俺らしくない…」




それでもいいんだ。

だって、現に隣には由梨が居る。




『ん?何か言った?』

「何でもねーよ。」

『?…変な阿部。』




くすくすと笑う、由梨。

笑うコイツは、確かに変わっているように見える。

微妙な関係で、決して誇れるわけじゃない関係なのは、百も承知だ。

それでも、




「…ばーか。」

『にゃ!ちょ、はにゃつまむにゃ!(鼻抓むな!)』

「くくっ、猫かよ。」

『む…にゃ!』

「いて!頬引っ張んな!」

『ふふ、変にゃ顔ー。』




隣に居られなかったあの時よりもずっと。

俺と笑ってくれるこの日常を、楽しんでるんだ。






俺の最優先事項は、

いつだってお前。

…いつの間にか、
気がついた時にはお前だったんだ。








 

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