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TSUNAYOSHI side
(い、息が詰まりそうだっ…)
「よっし。俺らも行くぜ、綱吉。」
「あ、うん。待って、赤也くん。」
【彼等】が教室から出て行ったのを確認してから、赤也くんが俺を振り返って立ち上がった。
俺は今、全然並でもない、あの超お金持ち学校【桜蘭高校】にいる。
俺、沢田綱吉。通称ダメツナ…って呼ばれていたのも2年前までだ。現在桜蘭高校1年A組。
周りはお坊ちゃんお嬢様ばかりで、赤也くんが居なかったら完全に飲まれるだろうオーラ。
転校初日にして、俺は不安で一杯だ。
ふたりで教室を出てちゃんとした足取りで“そこ”に足を伸ばす。
「あ。」
「切原遅い。」
「リョーマ、お前なあ。赤也先輩だろ。つか俺だけかよ。」
「綱吉先輩はトクベツだから。」
「ありがと、リョーマくん。」
渡り廊下で壁に寄りかかるリョーマくんと合流。
リョーマくんは俺と朔に懐いてくれているようで、弟が出来た気分だったりする。
睨み合うふたりを宥めて集合場所に行くと、そこにはみんなが既に集まっていた。
「お、やっと来たで。」
「赤也、リョーマ、綱吉遅いぜよ。」
「雅治先輩、時間には間に合ってるスよ!」
藍 銀 青にオッドアイ。端から見たら絶対関わりたくない不良みたいな頭。
それでも彼等がこの学校でも騒がれるのは…やっぱり容姿が整ってるからなんだよね。
骸と雅治さんは髪の襟足が伸びて、下で結っている。侑士さんは相変わらず伊達眼鏡をかけている。
精市さんは…、
「あーかーやー?ん?」
「ちょっ!?待って下さいッス、精市先輩っ!俺たちのクラスの“あいつ等”中々出てかなかったんスよっ!な、綱吉っ!」
「う、うん。だ、だから抑えて下さい、精市さん。」
「…綱吉がそう言うなら仕方ないなあ。」
「…俺の立場って…」
「…まだまだだね。」
以前よりもはらぐ…ごほっ、恐ろしさがパワーアップしている。
その犠牲者は基本赤也くんやここには居ない、ブン太さんや謙也さんだ。
落ち込んでいる赤也くんを慰めてから、その【第二音楽室】の扉の前に立つ。
「準備はいいかの?ボス。」
「う…、うん。行こう。」
侑士さんと雅治さんが左右の扉の取っ手を握って、ゆっくりとあける。
その瞬間、バラの花びらが頬を撫ぜていった気がした。
その先には複数の人影。
「いらっしゃいませ。ようこそ、我等がホスト部へ!」
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