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そこには既に侑士と骸、そしてさっきまで向こうに居たはずの鳳が居た。

因みに骸は光沢のある濃いグレーのスーツに藍色のシャツに黒ネクタイ。侑士は燕尾の黒スーツに青色のストライプネクタイ。

それにひょいっと侑士と骸の間から顔をのぞかせた。




「なんや、朔もか?」

『んー、飲みモンと小腹でね。』

「紅茶でええんか?」

『あったかい奴がいーなあ。』

「そうだろうと思ってましたよ。」




「やって」と骸に言うだけの侑士に笑って、骸は少し呆れながらも紅茶を汲みにいく。

丁寧な手捌きでちゃちゃっと注ぎ終えると、どうぞとテーブルに置かれた。

それにお礼を言ってから受け取って、そっと口にカップを近づけて一口飲む。




『ん。やっぱ相変わらず骸が淹れたのは美味いね。』

「ありがとうございます、朔。」

『で、鳳。ハルヒは?』

「向こうの方に逃げていったのを見た。」





その言葉にお礼を言って料理を片手に彼等に手を振ってその言われた方へ向う。

先にハルヒが見えて、声をかけようとしてその先には春日崎姫の姿。

それと同時にハルヒを目が合って、手を振るとハルヒが俺を指さす。




「あ、珠洲島先輩だ。」

「ええっ!?」

『ちょっ!よ、と。あ、グラスっ。』

「…セーフ。」




ハルヒの嘘に動揺して、持っていた料理とグラスを手から滑らす春日崎姫。

そのお皿をキャッチしたがグラスの回す手が間に合わず、眉を顰めるとすっと伸びてきたもう1つの手。

その声に『ナイキャ』と言いながら振り返った。




「ごごご、ごめんなさいっ、朔くん、リョーマくん。」

『いえいえ。貴方の料理が無事で何よりだ。』

「…アンタ、バレバレ。」

「え…」

「…多分、あなたには駆け引きとか向いてないんだと思います。彼の気を引くためにいくらホスト部をさすらってみても、あなたは食器を見ている方がよほど幸せそうでしたから。」




キャッチしたお皿とグラスを春日崎姫に渡すと、リョーマが呟くように言った。

それに続けるようにハルヒが微笑んで、言葉をつないだ。

それでも、彼女は俯き始めて目線を下に向けると、あの寂しそうな顔。




「…もう、いいのよ…私が何してもあの人ちっとも気にしてなんか…。留学だって知らないうちに決めちゃって…」

『「「…」」』

「…だから、もう―――…」

「ハルちゃんみーーっけ!」




ハニー先輩の声が響いたと同時に、モリ先輩がハルヒを肩に担ぎ上げる。

皆思わず何事かを目を見開いたものの、そのままハルヒは連れ去られた。










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