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□本当に、好きでした。
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自分の気持ちに気付いた…ううん。自分の気持ちを認めたから。
だから、進もう。皆、気持ちを整理する為に…その為に。
『…隆也。』
「あ?……、どうした、由梨。」
『…明日、水谷くんと話す。』
日常と化した送迎に、小さな門を挟んで振り返って言葉をつむぐ。
思った以上に自分の声が掠れて響く。同じように隆也も息を飲んで、目を丸くする。
はっと短く息を吐いて、笑顔。
『だから、待ってて。…その後、言いたい事があるの。』
「…ああ。…判った。」
隆也は何も聞かないでいてくれた。ただあたしの言葉に頷いただけ。
ただそれだけなのに、彼はあたしのことを判ってくれていると思う。
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『…まさか、水谷くんから持ちかけられるとは思ってなかった。』
「…うん。」
声をかける前に彼から持ちかけられた。…話がしたい、って。
それに同意して、空き教室に机二つ分くらい離れてお互いに立つ。
でも水谷くんはなかなか目を合わそうとはしてくれない。それは暗に元には戻れないと言われているようだった。
『…あたし、水谷くんに言いたいことがあった。』
「…何?」
なかなか言い出さない彼に先駆けて、あたしが口を開く。
彼は身体を斜めにしながらも、ふっとこちらに目を向けた。そのまま身体を彼に向けて、口を開く。
『…水谷くんが、好きでした。』
「!」
『…あの時はいい逃げみたいに言い放っちゃったから。ちゃんとこれだけは伝えたかった。』
目を見開いてから目線を泳がす水谷くんに、あたしは苦笑を漏らして言う。
それから、ぽつぽつと話す。…全部吐き切ってしまいたかった、知っていて欲しかった。
あたしが水谷くんを好きになった理由。
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