□あなたが一番大好きです。
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ねえ、聞いてくれますか。

ねえ、受け止めてくれますか。

――ねえ、想わせてくれますか?




『……好き。…隆也が…す、!』




ぐるっと振り返られて、次の瞬間には隆也に抱きしめられていた。

いつもの包み込まれる、優しい抱き締め方じゃない。

求められているような、彼に押し込められる力強い抱きしめ方…

苦しいのに、全然苦じゃなくて。最後まで言えなかったけど、隆也の背中に手を伸ばしかけて止まる。




「…俺で、いいんだな。」




それはあたしが聞いた隆也の声の中で、一番弱弱しい声だった。

いつもあたしを支えていた隆也の、不安があたしに圧し掛かる。

そう思わせてしまうのは、あたしの所為だから。




『隆也で…違う…、隆也がいい。隆也じゃなきゃ、もう…駄目なんだよ…』




回しかけていた手をしっかりと隆也の背中に回して、自分からぎゅうと抱きつく。

ぎゅうぎゅうと、あたしのこの気持ちが伝われ、と高鳴る胸で苦しい中、一杯に隆也を抱きしめる。

隆也の抱きしめる力が緩くなり、少し身体を離してお互いの顔を見る。




「…ぶ…、すげー赤ェ顔…」

『…///』




あたしの顔は熱くて、自分でも真っ赤なのが判る。

でも、隆也の耳も少し…でも確かに赤くなっていて、お互いに笑う。




『…隆也。隆也は…』

「由梨、」




それでも、認められなかった間に隆也の心が変わってしまってないか、少しだけ不安で。

目線を下げながら呼びかけたら、名前を呼ばれて顔を上げると、同時に唇に柔らかい感覚。

思わず目を見開いて、離れた隆也の顔を見つめながら、手の甲で唇を覆う。




「あんな恥ずかしいこと何度も言わねェけど、俺の行動で判れ。」

『なっ、何言って///』

「…由梨以外にんなことしねェから、変な心配とかしてんな。」




さっきの弱弱しい言葉を吐いた隆也とは、思えないくらいニヤリと笑ってあたしを見る。

その顔に、かああと顔に熱が集まる。思わず口の開け閉めを繰り返す。

それに満足そうに微笑んで、手を頭の後ろ添えてぐいっと顔を一層近づけ、至近距離で目が合う。

瞳一杯に隆也の顔が広がり、更に顔が赤く染まる。




「ずっと俺だけ見てろ、由梨。」

『……ん///』




小さく頷けばさっきとは違う、少し荒っぽくキスをする。

瞳の先には、隆也の嬉しそうな顔と、一層青く蒼く色づいた夏空が酷く目に焼き付いた。





あなたが一番大好きです。

俺様で強引で
不器用で酷く優しくて
真っ直ぐに想ってくれる

隆也がいちばん、大好きだよ。






end
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