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Akaya.K side
「くっそー、またやっちまったし。」
現在。朝錬にまた遅刻した俺は、罰として外周を走らされていた。
その罰もこのラスト1周で終わりだ。
(あー、あやか先輩に逢えねーかなあ。)
前回の罰で偶然に逢った時を思い出して、そんな事を思う。
『あーかやー。』
「!」
聞こえてきた俺の名前を呼ぶ声は、今まさに考えていた人の声で嬉しくなって勢い良く振り返る。
瞳に映ったのはこの間の先輩の姿じゃなくて、思わず目を丸くした。
先輩は足が止まった俺に近づくと、その表情に気付いて少し不安そうに眉を寄せる。
『赤也…?』
「え、あ…、あやか先輩っ、髪!」
『!う、うん。…変、かな。』
あやか先輩の肩下まであった髪は、顎くらいまで短くなっていて、所謂ボブカットになっていた。
名前を呼ばれて、慌ててずいっと先輩に一歩近づいた。
先輩は少し恥ずかしそうに、それで居て心配そうに髪に手を添えて俺を見た。
その表情に、俺は勢い良く首を振って、ニカッと満面の笑みを浮かべて思ったままを口にする。
「変じゃないッス!前のも似合ってましたけど、ボブもめっちゃ可愛いですもん!」
『!〜〜っ、…あり、がと///』
あやか先輩は少し頬を染めて、視線を左右に泳がせたが、嬉しそうに頬を緩めた。
数回しか会ってないが、この前とは全然違う先輩に嬉しくなって俺も終始笑う。
「あやか先輩、変わった。何か、先輩が近くなった気がするッス。」
『!そう、思う?』
「ッス!先輩が自然に笑ってくれるから、俺超嬉しいんすよ!」
『…ね、赤也。これからも、仲良くして…くれる?』
少しだけ困ったように、そして不安そうに眉を下げて俺を見つめる先輩。
先輩に何があって、何を求めているのかは俺にはわからない。
でもその質問の答えだけは即答できるから。
「勿論!俺の方こそ言いたいッスよ!これからもっともっと仲良くなるんすからね!」
『ふふ。うん、そうだね。ありがと、赤也。』
何でお礼を言われたのか判らなくて、問いただすがあやか先輩は微笑んだままで、はぐらかされてしまった。
でも先輩が俺に笑顔を向けてくれるようになったことが、なにより嬉しくて。
ま、いっか。と先輩に笑い返した。
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