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あれから泣いているのを思いっきり仁王くんにからかわれ続けてしまったのは忘れたい…。

何とか彼を朝練に帰して、赤くなった瞳をごまかすように顔を洗ってから午前の授業に向かった。

現在、その話をしに図書室に来ていた。





『それで…、友達に、なったん…だ。』

「…そう。」





その言葉をゆっくりと言い切ると、なっちゃんは一度瞼を下ろして目を閉じる。

その反応が怖くて目を伏せてから伺うようになっちゃんを見つめる。

なっちゃんは目を開けると同時に、口元を緩めて優しく私に笑いかけた。




「…よかった。」

『!』




その微笑みに目を丸くしてから、つられるように眉を下げながら笑う。

それを見て、安心したかのようになっちゃんは優しく私の頭をなでた。

照れる顔を隠すように俯くと、ドアの開かれる音にふたりで振り返る。




「失礼する。」

『柳、さん…』

「いらっしゃい、連二くん。」




振り返った先には、相変わらずの糸目で手にはいつものノートに貸し出し本。

瞳に移ったのは参謀、柳連二。

私は目を丸くして、なっちゃんは変わらずににこりと微笑んで彼を出迎えた。




「返却、は建前で今日はお前に会いに来たんだが。」

『…うん、そうだと思った。』

「!」




本をカウンターに置いてある籠に入れて、そのまま私の前に立つ柳さん。

眉を下げつつ彼を見上げるように顔を上げると、思っていなかったのか彼は少し驚いたように眉を上げた。

そして彼は表情を少し緩めた。




「…上手いこといったようだな。」

『え…』

「もう、目が違う。答えが見つかったようだな。」




柳さんはそう言って、口元をやさしく持ち上げた。

その表情に思わず目を見開いて、柳さんを見つめてしまう。















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