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□世界はそして変わる
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角を曲がればすぐ正面が昇降口で、そのまま真っ直ぐ先に校門がある。
走ったその勢いのまま角を曲がると、勢い良く人にぶつかり、抱えていた焔から手が離れる。
焔はひらりと身を翻して床に着地し、和つぃは倒れかけるが前の人がしっかり抱きとめてもらい転ばずにすむ。
『ごめんなさ…』
「あやか!大丈夫か。」
「何ぶつかってんだよ、危ねえだろ。」
『嶽くん、悠くん…』
「急いでたの?でも、どうして?」
『楊汰くん…』
「お前はいつまで抱きしめてんだつーの、離せ変態!」
ぶつかった相手は嶽くんで、転ばないように抱きとめていたのがいつの間にか、抱きしめられてる。
悠くんがそれに気づくと、嶽くんの頭を勢い良く叩いた。
それにより彼の腕からは開放されたが、ふたりは額をぶつけるようにしながら睨み合っている。
楊汰くんと顔を合わせて苦笑を零すが、赤也の顔が浮かんですぐに笑顔を消した。
それに楊汰くんが気づかないわけが無くて、心配そうな表情で覗き込むようにしながら私の名前を呼んだ。
「やっぱり、なにかあったの?」
『…、私…行かなくちゃ…』
「行くって何処にだ…」
「…学園の外に出るつもりか。」
『うん。』「「!」」
睨み合いをやめて私と楊汰くんに近づいてくる。相変わらず鋭い嶽くんに、真っ直ぐ顔を上げて目を合わせて頷いた。
悠くんと楊汰くんは、目を見開いて私と嶽くんを交互に見る。
悠くんがぐっと唇をかみ締めて、私の肩を両手でつかむと少し身を屈めて顔を近づけると、目を合わせた。
「本気で言ってんのか。」
『うん。』
「…話を受けたばかりだろ!今、星詠み科(俺ら)にとって学園の外は危険だ。」
『判ってるよ。でも…私は赤也を見捨てられない、他人にも頼めない。赤也は、間違いなく、私の、大事な後輩だから…大切な人だから。』
「っ!…そーかよ!」
『はるか、くん…』
悠くんは歯を噛み締めると、目を逸らして顔を離した。
楊汰くんは心配そうに眉を下げている。
私と悠くんの間に割って入るようにして前に立ったのは、嶽くん。
「戻ってこいよ。」
『…!』
「赤也くんも助けて、あやかも無事に此処に。帰ってくるんだ。」
『…う、ん。うん。帰って、くるよ。』
「なら、行って来い。」
『…いってき、ます!』
3人に見送られて真っ直ぐに校門に向かう。その後ろを、しっかり焔が追いかけてきてきている。
帰ってくるの言葉に間があった理由を知るのは、彼女と焔だけ。
そしてそれを彼らも知るのは、遠くない未来。
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