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女子がいつも以上に煩い。
合同体育、男女は分かれていやると思って少し安心していた自分を殴りたくなった。
「やっとだねー!」
「合同体育様様だよねぇえ?」
「うるせーな、女子。黙って、とっとと並べ!授業始めらんねえだろーが!」
大声を出した男子の体育教員に、全員が口を閉じて、いそいそと整列を始める。
不機嫌そうに並んだことを確認すると、号令をかけ準備体操の指示を出す。
その指示には誰もが素直に動いているところ見れば、あの教師は所謂学年にひとり居る怖い先生なのだろう。
準備を終わらせると、その先生が集合をかけて多少だべる女子入るものの整列して床に腰掛ける。
「あー、今日は男子と女子合わせて体育すっからな。内容は男子の項目のバスケだ。男女混合の4人チームで試合していく。わかったらとっととチームを決めろ。」
その言葉を言い終わると、女子は一気にテニス部の元へ一直線で我が先にと仁王くんや丸井さんに声をかけている。
残っている女子はまばらで、興味のなさそうな子や、既に彼氏持ちな子なのか直ぐにチームを組んでいく。
ちらりとテニス部のほうを見れば、嫌そうに顔をゆがめる丸井さんや、ただひたすら無表情を突き通す仁王くん。
ふと仁王くんと目が合うと、助けを求めるように見つめ、そっと口を動かしたので思わず慌てそうになったが、誰が同じになるかで必死の女子は見ていないらしい。
何時まで立っても決まる様子のないその集団に目を落として、興味のない目でがんばれと口を動かす。
向こうの仁王くんが表情をピクリと動かすのから逃げるように目を逸らすと、亜美に声をかけられる。
「あやかちゃん、一緒のチームになろう。」
にっこりと笑って誘ってくれる亜美に彼女を重ねつつ、その言葉に顔を緩める。
勿論いいよ、そう言おうとして口を開きかけたところで我慢の限界に来たのか教師が大声を上げて静まらせる。
同じように教師を振り返ると、彼は心底、いらいらした表情でテニス部を囲む女子をにらんだ。
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