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Masaharu.N side




想像していた通り、俺と丸井の活躍で点はどんどんと決まっていく。

圧倒的な運動神経のよさでパスをカットしたり、走りぬけると一気に攻めあがる。

常勝を背負っているだけあって練習は特にきつく体力も集中力も並外れていると思っておる。

その通り、しっかりと着実に勝ち続けている。

でも俺が気になっているのはそのことではなく、同じチームを組んでいる丸井とあやかのことじゃ。

最初にチームと決まったときからおかしいとは思っとったが、やっぱりおかしい。




「仁王!」

『っ、ごめん、仁王くんっ!』




こいつら、お互いでパスしたこんない。

俺とのパスでお互いに点を取る丸井、なんとかカットしたボールを慌てて俺に渡すあやか。

どっちも近くに相手がいようと、フリーでいようとパスなんぞせん。

ふたりは確実に避けているように顔も合わせることすらせん。

だが、同時にどちらも相手のことを気にしているように見ていることがあるからなんかむかついてくる。




『っ…』

「ふふ、ごめんなさあーい?」




そしてこのバスケであやかの当たりが強い。

望んでなったわけでもないのに女子は俺たちのチームになった彼女にワザとぶつかっては転ばせる。

そのたびに転ぶ彼女にはフリースローで点を取っているがその代償にあの怪我ではちっとも嬉しくなんかない。

だが、いつだって言おうと思ったときには、来るなと俺を見るあやかに俺の脚は止まってしまう。

それを一緒に見ていた丸井もだんだんイラついているのがわかり、丸井が1歩踏み出したのを止める。




「なんだよぃ、仁王。」

「やめときんしゃい。」

「…んだよ。あんなの見てたくないだろぃ。だから…。」

「あやかが止めるなって言うとったんじゃ、手を出したらいかんぜよ。」

「!」




止めるために掴んだ丸井の腕を強く握ってしまい、思わず放すが丸井はそんなことよりも俺が言うた言葉に目を丸くしていた。

あやかを見ると、軽く服を叩いて立ち上がると、ボールを手にフリースローの元に歩く。

その手足には床で擦った傷や、爪の長い女子によって付けられた傷が見える。

俺にできるのはあいつが打ったフリースローを入れてやることしかできん。

どうでもいいやつならこんなこと思わん、友達だから手を出せないことがこんなに心苦しいとは知らんかったんじゃ。

それを無碍にしないために勝ち進んできた。

でも、次は他のやつとは違う。ふたりが俺だけを頼っておったら絶対勝てん。

前に居る丸井がどんな顔をしておるのかはわからん、どんなことがあったのかは知らん。

じゃけど、ここまできたら勝ちたい。

ただの授業なのにそう思ってしまった自分に、柄じゃなくて苦笑をもらしてもうた。














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