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□特別な今日だから
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「明日は何日じゃ?」
『は?12月4日でしょ?何、ボケた?』
「どの口がそんなこというんじゃ?ん、この口かのう?」
『ふぉえんにゃはい(ごめんなさい)、ふぉふぉはにゃしてくらはい(許してください)…。』
「たっく、んじゃ何の日かもわかっておるじゃろ?0時ぴったり楽しみにしてるぜよ。」
仁王くんの言いたい事がわかったので敢えて誤魔化すと、両頬をむぎゅっと掴み、左右逆方向に引っ張る。
すかさず謝ると、なんとか頬は解放されてひりひりと痛むそこを撫でる。
そしてにっこりといい笑顔で仁王くんが言った言葉にくらりと眩暈がした。
それが今日の出来事で、時刻は12月4日まであと5分だ。
あらかじめ作っておいた当たり障りの無い誕生日お祝いメールを片手に、時計とにらめっこをする。
あそこまで言い切り私に聞かせたのだから、ミスをおかせばいいことが待っているはずがない。
1分でも遅れれば小言を言われるのは目に見えている。
(それは…、勘弁して欲しい。)
時計の秒針まで食い入るように見つめ、残り30秒でメールの内容を確認する。
そして0時と表示されたのを確認してから、送信ボタンをしっかりと押して仁王くんにメールを送った。
任務完了と心の中で呟いて寝る準備…というか布団にもぐりこむ。
寝ようと寝返りをうった時に携帯が新着メールを知らせて、暗くなった部屋の中携帯を開く。
光のまぶしさに目を細めつつもそこに書かれている文字を見て、逆に目を見開いて眉を寄せた。
【7:30に家の前で待ちんしゃい。】
短文でそれだけ書かれたメールに嫌な予感を感じつつも、小さくため息をついて返信を用意する。
返事の選択は一つしか用意されていない。
【…了解】
それだけ打って送信ボタンを押すと今度こそ布団を頭からかぶって目を閉じた。
いつもよりも早い時間に起きなくてはならないらしい。
今日は、仁王雅治の誕生日だ。
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