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HARUHI side(+ Other)




「はあ、何で自分がこんな事を…」




小柄な少年が両腕一杯にこの場所に似合わない、そこらのスーパーの袋を抱えて進んでいた。


(大体、もうこんなのいらないんじゃあ…本当に、あの人たちの考えが判らないな。)


はあ、と同じように大きく溜息をつく。急いでいるからか、腕から袋がずれる。

少年は足を止めて、よっと荷物を持ち直した。




ザッ
「…え?」




歩いている道に人の気配は無かった、のに聞こえた物音に声をもらす。

反射的にその音のするほうに顔を向け、音の元凶を探す…までもなく、目を向けたそこに人が居た。

人の気配が無かったそこに、見るからに怪しい黒いスーツを着た見るからに怪しい奴が。

男は一人ではなく、ふたり。こちらに気付き、黒い何かを持って近づいて来る。

黒く光る【それ】に身体が強張る。恐怖が身体を支配した。


(にげ、ないと…でも、身体がっ…)


近づいて来る彼等に息を呑んだ時、ぐいっと凄い力で引っ張られた。

足は動かないから、倒れる身体。両手からは袋が零れる。

あ、と思った時には身体は人に支えられ、荷物は引っ張られた手とは違う手に収められた。

ばっと勢い良く顔を上げて、自分を支えている人を見上げた。


(わっ…、きれ、いだ。)


自分の目に写ったのは青い髪に鋭く男たちを見る、紅い瞳。そして自分と同じここの男子制服。

ばちり、見上げていた自分の瞳と紅い瞳が合った。

彼はへらっと微笑んでから、申し訳なさそうに眉を下げて口を開いた。




『巻き込んで悪い。…ちょっと失礼。』

「はっ!?」




高くなく、決して低過ぎることも無い澄んだアルトの声。

その言葉の意味を理解する前に、ふわっと自分に起こる身体の浮遊感。

それは横抱き…所謂、お姫様抱っこだった。吃驚して直ぐに下ろして欲しかったが、それどころじゃなかった。




『ラウロウ、一定距離を保ちつつ援護しろ。』

「「Si.」」




青髪紅瞳の少年の言葉に、買い物袋を持った金髪タレ目の男と同じくつり目の男が何処かの言葉で返した。

3人の手にも向こうの奴等の手にも、この日本では滅多に見ない黒く光る【それ】

さっきから何発か打ってるが、音が出ないもののそれは間違いなく本物だった。

最初の男たちは、それを上手く避けながら追い駆けてきてる。間違いなく普通じゃない。


(お母さん…どうやら自分はまた変なことに、凄いことに巻き込まれているようです…)


恐怖は何故か消えていた。それは青い髪の彼のお陰か。

今はただ面倒だと思うばかりで、なされるまま彼の腕の中で溜息をついた。




side End



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