Dream
□Prologue
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とある部屋に、少女と青年が一人の男性と向き合う様に座っている。
「やあ、よく来てくれたね。ダークファミリー九代目。」
優しそうな顔の男性が話し掛ける。
『…お久しぶり、ボンゴレ九代目。』
まだ幼さの残る少女が、微かに聞こえる様な声で答える。
「どうかいたしましたか?ボンゴレ。」
少女の隣の、執事服に身を包んだ青年が聞く。
「実はね、君に相談が有るんだ。」
『「??」』
二人は何の話だろうかと首を傾げる。
そんな様子を見て、微笑みながら男性は聞いた。
「日本に行ってみないかい?」
「何故ですか?」
予想していなかった言葉に、青年は聞き返す。
「十代目候補に会って貰いたいのともう一つ。
日本で暫く気分転換でもしてみたらどうか、と思ってね。」
『……………(ジーッ)』
少女はただ、目の前に座る相手を見ている。
「君の声が戻るきっかけが出来るかも知れないよ。」
『!!…………(コクン)』
自分の声の事を知っているボンゴレの言葉に、ファミリーのボスだが仕事は日本でも出来るか……と、承諾した少女。
「では、準備をして参ります。」
『(コクン)』
――ガチャ パタン
しばらく、二人でお茶をしていたが、ふと少女が立ち上がり帰る仕度を始めた。
『お茶、ありがとう。ジャポーネの、貴方の後継ぎ、きちんと見て来る。』
「ふふっ、楽しんでおいで。」
『(コクン)』
――ガチャ パタン
「あの子に、新しい仲間が出来ればいいのだが…」
悲しそうな顔で呟いた言葉は、誰にも聞こえずに消えた。
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