□拍手2. 記憶って曖昧で困る 5題
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黒く流れる長い髪に鋭い眼。
不覚にも、かっこいいかもとか思ったのに。のに!


「女が1人でこんな所、まあ普通の森なんだけど、ウロウロしない方がいいぜ?」


本当の女の子に言えば、決まるセリフだと思うけど生憎と俺は男な訳で。


「悪いけど、俺サマは男」


「嘘つくなよ」


え、即答?しかも何その自信。
嘘ついてないんですけど! そんな騙されないぜみたいな顔で見られても困るんですけど!


「いや、マジなんだけど」


「……ああっ、そういう設定なんだな。悪かった気付かなくて!」


「…………」


何というか、その設定、俺サマ初耳なんですけど。何でそんな絶対女見たいになってんの。
こいつの周りには女の子がいないのだろうか。
よし、こういうのとは長く居ない方がいい気がする。早く離れよう。


「何でもいいわもう。じゃあな」


「あ、ちょっと待て!」


俺サマって大概お人好しだと思う。
無視すればいいのに無視できないんだよなー。


「何だよ?」


「俺、この森から出られなくなってさ…。女性に、あ、秘密だったな悪い、頼むのは情けないと思うけど、助けて欲しい」


今すぐ女性って所を訂正してくれるなら考えないこともないけど。てか秘密ってなんだ。俺にそんな秘密はありません。


でも、まあ。これも何かの縁ってやつかもしれないし…?


「………へいへい。分かったよ」


「悪いな、助かるっ!」


こうして俺サマとこいつの出口までの超短い旅が始まった。


ところでさ、


1.「あんた、ダレ?」

 「それはこっちのセリフだ」





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