□僕だけの攻防戦
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俺サマはロイド君が大好き。
少しでも一緒にいられるなら、もちろん嬉しい。


でも、でもよ?


「な〜んで風呂まで入ってくんのよロイド君…!」


ありえないだろ?風呂だぜ!?
俺サマにとって一息つける大切な時間なのに、ロイド君がいたらとてもじゃないけどリラックス出来ない。
いや、鬱陶しいとかそんなんじゃなくて緊張するというか意識してしまうって意味で…!
ああもう何言ってんのよ俺サマ。


「俺が一緒じゃ嫌かゼロス?」


いつの間にやらすごく近い距離にロイド君の顔。
自分でも顔が赤くなっていくのが分かる。
は、恥ずかしい…!


「………っっ」


真面目な顔されると弱いの絶対知っててしてるだろこいつっ!
しかも今は風呂に入っているのだか当然裸。
いつもの行為が頭によぎって俺サマを硬直させる。


何か俺サマ1人で大慌てしてて馬鹿みたいじゃん…!
というかそもそもこういうこと考えてるのって、俺サマ変態みたいじゃない!?


「ゼロス、顔赤いぞ。のぼせてるんじゃないか?」


「ちょっとロイド君っ!?」


どんどん近づいてくるロイド君と、後ろに下がっていく俺サマ。
どちらが不利なのかなんて分かり切ってる。


ひんやりと冷たい壁に肌が触れる。


(本当にまずい。今日はそういうのしたくないのに…っ!)


「ゼロス…」


完全にその気になってる声と、感じる息遣い。
やばい、やばい。


「〜〜〜〜〜〜っ駄目!!」


バシャンッ!!


浴室に響く、俺サマの声と湯の音。


……俺サマの目の前にいるのは、顔も頭もずぶ濡れになったロイド君。
ちょっとやりすぎたかもと思うけどいきなり迫ってくるののが悪いんだ…っ。


今のうちに上がって寝てしまおう!
そう思いお湯を顔から払っていいるロイド君をよそに湯船から上がる。


(よし、風呂場でて寝てしまえばこっちのもん…)


「ゼロス」


聞いた事がないくらい低い声。
やばい、完全に怒っていますってやつだ。


「ゼロス、風呂ってな、疲れをとるのにすごい大事なんだぜ?」


「う、うん…」


いや、完全に声と内容が合ってないから。
逆に怖いぜハニー。


「だから、もっとゆっくりつくもらないとな?」


絶対今最高にいい笑顔だと思う。恐ろしくて振り向けないけど。
しかも何気に戻ってこいって言ってるよなそれ…!


「好きだよ、ゼロス」


浴室に反響する声。
自分の心の中で何かがぷつんと切れた気がした。
ああ、もう俺サマ無理だわ…。


「…………誘ったんだ、きっちりリードしろよロイド君?」


「もちろん。この湯のお礼の分もきっちりしてやるよ」


くすりとロイド君らしからぬ笑い方。
やばい、返答をミスったかもしれない。
ほんと侮れないぜロイド君…。


まあ、俺サマだって色々頑張ってたんだから遠慮されても困るんだけどな?


「俺サマを満足させるなんて、ロイド君に出来るかねえ」


ぴちゃん。


笑いながら俺サマは再び浴槽へ足を進めた。


(もういいか。ロイド君にかなうわけないのだから!)


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