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□溢れんばかりの愛を君に!
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俺はゼロスが好き。
だから告白した。


ゼロスはすごくびっくりして、顔を真っ赤にさせたけど、小さな声で嬉しいと言った。


それからは当たり前のように俺とゼロスが同室で、毎日一緒に寝て起きるのが習慣。
それで気付いたことがある。


それは、ゼロスは寝起きが悪いということ。


俺の片思いのころは部屋が違うことが多くて気付かなかった。
でも早起きなんだと思ってた。
だって俺が早起きして稽古してたら宿の外に出るゼロスを見かけることがあったから。
それ以外にも外に出なくてもぼんやりと部屋の窓から外を見てたりしてたし。
そんなことしてたら俺がこう思うのも無理は無いと思う。


でも実際、ゼロスは寝起きが悪い。
今だってこうして何度名前を呼んでいるのに起きる気配は無い。
微妙に、すっごく微妙に反応はするんだ。
もぞもぞ動いて赤い髪を靡かせるぐらいには。
でも、それだけ。


ふう、と深呼吸してもう一度名前を呼ぶ。
何度しても結果は同じだけど。
昨日はどうやって起こしたっけ?ああ、野宿だったからか自分で起きたんだっけ。
じゃあその前は?………覚えてない。


「ゼーロースー」


いい加減疲れてきた。なんか今日はいつもより寝起き悪くないか?
あえてこのまま寝かせておいて先生に怒られてもらうってのもありかもしれない。
これで起きなかったらそうしようともう一度名前を呼ぶと、俺の考えをキャッチしたかのようにゆっくりと目が開いた。
スローモーションのように上体を起こす。


(ぼんやりしてる、可愛いな…)


寝起きのゼロスはいまいち反応が鈍くて、いつも起きてから5分ぐらいはポケンとしてることがほとんどだ。
自慢の髪もくるくるとウェーブみたいになってるし、前髪もだらしなく垂れている。
本人曰く朝の俺サマは俺サマじゃない!らしいがこういうところがゼロスらしいと思うんだけどなあ。
変に気取ってなくて自然で、何よりも。


(可愛い)


ベッドに乗っける様に腕を組んで、下からゼロスを見る。
実はというとこれは俺の密かな楽しみだったり。
だってこんな無防備なところなかなか見れないから。


ゼロスがちらりと俺を見る。


「おはよ…」


おはよ、だって。「う」はどこいった?ほんと可愛い。
なんだそのふんわりした笑顔。可愛いって言ってるだろ!何回言わせるんだ!くそ、可愛いなっ!
ああもうほんと俺ゼロスのこと好きだ。
きっとゼロスがいないと生きていけない病気なんだ。それも重症。末期。
そんな素敵な病気なら一生かかっていたい。是非治さないでくれ。


そんな俺を尻目に大きな欠伸をしてポスンッとまたベッドに沈んだ。
ああまた人が油断したらそういうことするだろ…!
ゼロスへの小さな怒りと同時にちょっとした自己嫌悪に陥る。
俺は悪くない。だって寝起きのゼロスを見るのはもう日課みたいなもんだしまさか二度寝するとは思わないし…!
こんなにふわふわしてんだぜ?こんなに柔らかそうなんだぜ?そういう妄想しながら恋人見入るのって悪いことじゃないだろ…!って俺何言ってんだっ…。
なんだよふわふわって。柔らかいって。
いやまあゼロスはそういうイメージだけど、それはイメージであってだな、現実に当てはめちゃいけないというかそれは危険な第一歩であって
まだ付き合い始めて日が浅い俺達はもうちょっと健全な道を歩むべきだと俺は思うんだよいやでもゼロスがどうしてもっていうならそれはそれで
良いかもしれないだって俺達はそこらへんの奴よりもよっぽど強い愛で結ばれてるからいきなり2、3段とばしてゼロスが望むようなことまで
進んでみても全然問題なんてないと「ロイド君」そうほらこんな甘い声で名前を呼ばれたらいてもたってもいられなく「ロイド君?」


「………へ?」


丁度俺の視線の先に不思議そうな顔で俺を見るゼロスの顔。
どきりとする。
さっきまでやましいことを考えていたからか純粋に綺麗なゼロスに見惚れたのか分からないけど。
いや、きっと両方だろうな…。


そんなことを考えていたら、無意識にゼロスに触れていた。
ううん。普段から触りたいと思っているからつい行動に出てしまったのかもしれない。
だってゼロスはなんだか普段に増して綺麗に見えるし無防備だし、まつ毛長いしなんかうる目だし。
俺の本当に眼と鼻の先にそんなゼロスがいたら手を出したくもなるだろ。
しかもなんかしらないけど俺が触ることに対して怒らないし。
あれか、これは俺への挑戦状なのか?
これぐらいで動揺してたらまだまだ青いなみたいな主旨が含まれてんのか?


「ロイド君…なんか恥ずかしいから…やめて?」


ぷつん。
はいやめない、もう無理。
さよなら理性、こんにちは本能。


「ゼロス…」


ぎしり、とベッドに乗りあがる。
油断しきっていたゼロスが逃げるのと、俺がゼロスの上に乗っかるの、どっちが早いかなんて賭けるまでもない。


「ちょちょちょちょちょロイド君!」


「大分目が覚めてきたみたいだな?」


にやりと笑って、笑顔を引きつるゼロスをよそにゆっくりとゼロスの服の中に手を入れて。


「こちょこちょこちょこちょ」


「でひゃひゃひゃひゃひゃっ!ロ、ロイドくんっ!は、反則…っだってっ、ちょっとっ〜!」


ばたばたと狭いシングルベッドの上で繰り広げられる攻防戦。
一方的に俺が攻めるだけのとってもゼロスに不利な戦い。
そう、ゼロスはこしょばしにかなり弱い。
だからといって別にするつもりはなかったんだけどなんとなくしたくなった。


なんだろう。
そういうアダルティーなこと今はしたくないって思ったからかなあ。
それにいつものあの明るいゼロスが見たくなったのかもしれない。
アンニュイなゼロスもそれはそれで大いに魅力的だけど、俺はやっぱりこのゼロスが一番好き。
好き、かあ。うん。


「ゼロス、大好きだからな!」


ぎゅうううって効果音がつきそうなぐらい強く抱きしめたら、いでででと言いながら抱きしめ返してくれる。
あったかい。寝起きだからかな。いや、いつもあったかいか。ゼロスって子供体温っぽいし。
でもそんなところもやっぱ好きだ。


「ロイド君、愛してるぜ〜」


「それもいいけど好きって言って欲しい」


「何でよ?」


「なんかそっちのほうが可愛いじゃん」


なんだそれ、と呆れた顔で俺を見てくる。
確かに自分で言ってても良く分からないけど今日は好きの気分なんだと思う。
はは、好きの気分ってなんなんだろうな。
ゼロスといるとなんだか自分が自分じゃなくなっていくみたいだ。
これ以上馬鹿になったら、どうしてくれるんだろう。


「大好き、ロイド君」


馬鹿は馬鹿でも、ゼロス馬鹿に、だけどな。


ずっとずっと大好きだゼロス!




(ああなんて幸せ!)


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