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□拍手2.4
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俺サマ、一生の不覚。
必死に違う違うと自分に言い聞かせたけれど、どうやら遅かったらしい。
まさかこんなやつのあんな言葉を意識してしまうなんて…。


(俺はお前が好きかも知れない)


「〜〜〜〜っ」


お、落ち着け俺サマ!しっかりしろよ!
ありえないだろうんありえない。
どこの乙女よ。いや違う。根本的におかしい。
こいつは男で俺サマも男。よし、大丈夫…。


「どうかしたのか?」


「わっ!?」


一呼吸おいた瞬間、目の前にいたのは俺サマの悩みをつくった当の本人。
だからそういう突拍子ないことするの止めてくれないかな!?
お前じっとしてればそれなりにかっこいいんだから心臓に悪いんだよ!
って、何言ってんの俺サマ!?


ああもう嫌だ。
変なこいつといるせいで俺サマまで変になってきたんじゃないか?
そうとしか思えない。というかそうじゃないと困る!


「………おーい。大丈夫か?」


「大丈夫だから。うん。うん…」


「挙動不審だな」


お前にいわれたくないよ。
でも確かに今は俺サマのほうが変かもしれない。
あ、顔赤くなってきたかも。どうしよう。
これじゃ俺サマ完全に変人じゃん…!


「なあ、」


「え?」


ちゅ。


ちゅ?なんだその可愛らしい効果音。
そういうのはもっとこう綺麗な景色を見ながらだとか、いい感じの雰囲気になった時にさりげなく愛しのハニーにするキスの代名詞ともいえるものであってだな、
決して、そう、まかり間違ってもヤロー同士から発せられていいもんじゃないはずなんだぜ?
そのはずなのに。


「……今、何した?」


「キス」


なんでこいつはこんなにけろりとしてんの?
いくら自分からしたっていっても相手は男だぞ。
まあ、俺サマってば美しいから男女問わず惹かれるのはしょうがないけどさ。


「何て?」


そう簡単に信じられる事実じゃないんだなこれが。
だって俺サマ絶賛記憶喪失中なわけで、もしかしたらこれが初キッスだったかもしれないし…。


「だから、キスだって」


ああ、やっぱりさらりと答えるよなお前なら。
もう少し思慮ってもんをしてほしい。
というか人の唇奪っといてなんか態度でかいなこいつ…!


「……ぷっ」


「な、何笑ってんだよ!」


ああもうこいつほんとに嫌!





4.「ナニその反応」
  
 「むしろ、お前が何なんだ…」



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空をとぶ5つの方法


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