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□辛辣な僕のエンジェル
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※ユーリさんが若干受け。ゼロス積極的度120%。



寝るまでの何もしない時間が結構好きだったりする俺は今日も今日とてその良心地に体を委ねていた。
選択して太陽の温かさがまだ少し残っている清潔なシーツに寝転がれば任務での疲れも癒されるものだ。
小さく息を吐いて、目を閉じる。
それと同時にバタンッと自室のドアが勢いよく開き何事かと半身を起してドアの方を見ればふわふわと柔らかそうな赤毛の男。


縋る様に俺を見つめるそいつを放っておく事なんて出来る筈も無くちょいちょいと自身が寝転んでいるベッドに手招きすれば素直に近付いてきた。
ちょこん、とベッドの上に座りそわそわと落ち着き無い姿はとても22歳の男には見えないが可愛らしいので何の問題も無い。


ユーリ、と物欲しそうに俺の名前を呼び首に手を回して抱きついてくるこいつを誰が離したり出来ようか。
他の奴らの前では一切こんな事はしてこないからこそ二人になった時その分甘えてくるのだ。
猫の様にごろごろと頬をくっつけてきたりすり寄ってくる姿は別人のよう。
こんなこいつを知っているのが俺だけかと思うと一種の優越感のようなものが湧いてくる。


頬に柔らかい感触がしたかと思うと、続けて額や鼻先にも同じ感触。
いつものスキンシップなので頬にされたりするのは慣れているが唇にされる時だけは流石にドキリとする。
整った、女にも見えるほどの端麗な顔がゆっくりと近付いてくるのだから色々と堪ったものじゃない。
理性とかそういったものが一気に持っていかれそうな、そんな感覚。


「……ん」


漏れたのは、ゼロスではなく俺自身の声。
緊張するだけで初めてという訳ではないのに声が漏れてしまうなんて恥ずかしいにも程があるだろう。
嗚呼でもこいつのキスはかなり上手いので俺としても変に気を抜けないのだ。
言ってしまえば、いつ自分が受ける側にされるのか内心冷や冷やすることも少なくない。
それくらいこいつは積極的だったりする訳で。


ゼロスに誘われる様な形でベッドに沈めばギシリと鈍い音が上がる。
そのまま事に傾れ込むのかと思えば不意にゼロスが言葉を発した。


「なあ、いっつも思うんだけどさ、何でそんなに緊張してんの?」


どうやらこいつは思っていた以上に鋭いらしく今まさに思っていた事をずばりと言い当てられた。
でも残念な様なホッとした様な、俺の心境までは伝わっていないらしい。
内心で一度呼吸を整えながら問われた質問をそのまま返す。


「じゃあ何であんたはそんなに平気そうなんだよ。…合意とは言え、男に抱かれるんだぞ?」


あくまで抱く立場である俺には良く分からないけれど、普通、抱く俺より抱かれるこいつの方が複雑なんじゃねーのか。
少なくても自分がこいつの立場なら軽く自己嫌悪だろう。
何が悲しくて男に抱かれないといけないんだと思うのが普通じゃないのか。


「質問に答えろっての…、まあいいや、何で平気かって?お前が好きだからに決まってんでしょうよ」


「…え」


その素直すぎる言葉に生返事をしてしまう。
嗚呼お前、何さらりとすごい事言ってくれるんだ、どう反応したらいいのか分かんねーじゃねえか。
好きって。それ何だよ。
いや、もちろん俺だってお前の事好きだしこんな行為までしているけれど…っ、嗚呼、何かやばい。


どう答えて良いか分からず黙り込んだ俺の様子を見てゼロスはにやりと笑いとんっ、と俺の体を押した。
その瞬間に視界がぐらりと変わり、今度は俺がベッドに沈む。
衝撃に備えて閉じた目をゆっくりと開けば視界に広がるのは美しい赤で、視線があったのは深い青。
口元はにやりと笑っている。嗚呼、どう考えていても悪い予感しかしないのだが。


「俺サマはお前が好きだからキスもするし抱かれるの」


そう言って俺にキスする姿はどんな女よりも色っぽくて目のやり場に困るもの。
それを分かっててしてくるのだろうからこいつはかなり性質が悪い。
煽って、煽って、俺の心を試す様に遊ぶ。


嗚呼本当に性質が悪い。
俺がこいつを大切にしようとするほど積極的に強いてくるのはわざとなのだろうか。
一層、この余裕を無くすくらい酷くしてやろうかと思ったこともあるけれどこいつが好きだからこそ、それは出来ない。
ヘタレていると笑われるだろうから決して口には出さないけれど。


白く長い手が俺の服へと伸びる。
何をしようとしているのかが嫌でも分かって腕を掴めば上がる非難の声。
ユーリくんが手を出さないから俺サマからしてるんだろ、と正論の様に言ってくるゼロス。
これじゃどちらが受ける側なのか分からない。
それは屈辱以外の何者でも無くて。


「分かった、分かったから、止めろって…!」


何が分かったなのが自分でもよく分からないけれどこのままでは本気で立場が逆転する気がして口走ってしまったのが間違い。
綺麗な顔でにっこりと微笑む姿は他人が見れば見惚れるものかもしれないけれど俺にしてみれば死刑宣告と同等だ。
いや、今の無し、と言った所で時すでに遅し。
俺の上に馬乗りになりながら、ゼロスはにっこりと楽しそうに微笑んだ。


「気持ち良くさせてね、ユーリくん」


(鳴く事になったのは、どっち?)











thanks! h a z y


好き好きユーリくん!


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