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□いつまでたっても始まらない恋
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不思議だ。
神子(ここではテセアラの方)が誰かと話していると妙に心が渦巻く様な、奇妙な感覚に襲われる。
特にロイドと話している所を見た時はそれが大きくなるのだからますます不思議だ。

何故だろう。
あちらは私の事を大層毛嫌いしているようだが別に私は嫌いではないのに、どうして心がざわつくのだろう。

心が揺れる時はそれだけではない。
神子が笑った時(皮肉な笑顔ではなく、本当の笑顔に限ってだが)や照れている時にもそれは起こるのだ。
どうして神子に限った事なのだろうか。

私が一番優先するべきはロイドだというのに、つい神子に目がいってしまう。
随分と長い間生きてきたつもりでいたがまだ分からない事があるのかと思うと素直に驚く。
でも知らない事があるのは嫌では無い。むしろ好きかもしれない。

「ちょっと天使さま、報告ちゃんと聞いてる?」

「……ああ、聞いている」

神子の事ばかり考えていて、本当はあまり話の内容は頭に入ってはいなかった。
不思議だ。こんな近くにいると言うのに何故か神子が遠く感じる。
このもやもやの原因はいつになったら分かるのだろう、そう考えながら神子の言葉に耳を傾けた。

淡々としている神子の声でさえ、聞いていると自分の心が温かくなっていくのは何故だろうか。
決して良好な関係では無いのに神子がここにいるという事だけで満足するのだ。

考えれば考えるほど分からなくなって、神子が立ち去った後一人首を傾げた。

(…不思議だな)




thanks! h a z y


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